映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「フィフティ・シェイズ・ダーカー」「ハクソー・リッジ」「結婚」「ありがとう、トニ・エルドマン」etc.

石井裕也

映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ

「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」オリジナル・サウンドトラック
2017年、東京。美香は、昼は看護師として、夜はガールズバーで働きながら日々をやり過ごしていた。言葉にできない不安や孤独を抱えながら生きる美香は、ある日、偶然、工事現場で日雇い労働者として働く慎二と出会う。二人はその後もさまざまな場所、さまざまな場面で出会いながら、少しずつ距離を縮めていく…。

大都会の片隅で生きる孤独な若者たちの出会いと恋の予感を描く「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」。物語のベースになっているのは独特の感性で人気を博す詩人・最果タヒのベストセラー詩集だ。詩がベースの映画というのは珍しいが、この人の詩は暗いのにどこか前向きになれる不思議な雰囲気を持っている。何でもタヒという名前は死という言葉を意味しているとか。そう思うと、本作のキャラクターが死の気配を濃厚に感じ取っているのも理解できる。物語は、都市を舞台にしたボーイ・ミーツ・ガール(あるいはガール・ミーツ・ボーイ)のストーリーだ。大都会・東京にうごめく無数の人々の中で言葉にできない不安を感じて生きていた二人は、おそらく互いに同じ思いを感じ取ったのだろう。愛なんか信じない。生きづらさを常に感じている。そんな二人は他人に甘える術さえ知らないが、それでも二人は出会った。この出会いに未来への希望を託しているのだ。渋谷や新宿でゲリラ撮影されたという映像や、抽象的な言葉も多数ある演劇的演出など、どちらかというと実験的な要素が強いこんな小品を、若くしてベテランの風格が漂う石井裕也監督が作ったというのが少し意外だ。安定した上手さをみせる若き演技派の池松壮亮と、石橋凌と原田美枝子の次女で、演技経験がほとんどない石橋静可という不思議な組み合わせが、孤独な男女のぎこちなさにフィットしていた。
【60点】
(原題「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」)
(日本/石井裕也/石橋静河、池松壮亮、佐藤玲、他)
(孤独度:★★★★☆)
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バンクーバーの朝日

バンクーバーの朝日 Blu-ray 通常版
20世紀初頭のカナダに実在した日系移民たちの野球チームを描く「バンクーバーの朝日」。野球映画というよりヒューマン・ドラマとして味わいたい。

1900年代初めのカナダ・バンクーバー。多くの日本人が新天地を求めて移住してきたが、そこで彼らを待っていたのは、貧困、差別、過酷な労働など、厳しい現実だった。そんな中生まれた、日系人野球チーム「バンクーバー朝日」は、はじめは弱小チームだったが、やがて巧みな戦術とフェアプレーで勝ち進み、日系移民たちの希望となっていく…。

戦前のカナダ・バンクーバーに実在した日系人野球チーム「朝日」の存在をこの映画で初めて知った。地元のアマチュアリーグでは弱小だったが、体格やパワーではかなわない白人チームに対し、フェアプレーを貫きながら、バントや盗塁などテクニックと頭脳プレーの戦術で戦い、やがて白人社会からも認められて優勝争いまで演じる展開は、スポーツ系サクセス・ストーリーと言っていい。だが本作を野球映画として見ると、少々物足りなさを感じてしまうだろう。スポーツ映画特有の汗臭さや必死な形相などは見当たらない。主人公を演じる妻夫木聡の終始うつむいた姿は、ただ野球だけに熱中していれば良かった時代ではなかったことを物語る。移民として差別に耐えていた彼らには、太平洋戦争勃発という、より過酷な運命が待っているのだ。映画は、野球そのものよりも、日系移民たちの過酷な生活や彼らの複雑な心情、とりわけチームそれぞれの家族ドラマの方に軸足がが置かれている。チームのほとんどが他界した後にカナダ野球の殿堂入りを果たしたというエピソードが哀愁を誘うが、それでも本作で多くの人が「朝日」を知る。そのことがこの映画の一番の使命だ。現在、海外で活躍する日本人野球選手は多いが、そんな彼らの活躍の素地ともいえるのが無名の「朝日」のメンバーなのだから。戦前のバンクーバーの日本人街を再現した広大なセットが見事だった。
【65点】
(原題「バンクーバーの朝日」)
(日本/石井裕也監督/妻夫木聡、亀梨和也、勝地涼、他)
(歴史秘話度:★★★★☆)
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ぼくたちの家族

ぼくたちの家族 特別版Blu-ray
母の余命宣言で揺れる家族の本音と再生を描く「ぼくたちの家族」。難病ものなのに湿っぽさがないところがいい。

若菜家はごく平凡な家族。だが重度の物忘れで検査を受けた母・玲子に脳腫瘍が見つかり、余命1週間を宣告されてしまう。玲子は認知症にも似た言動で、今まで話すことがなかった家族への不満や本音をぶちまけ、夫・克明と独立した長男の浩介、大学生の次男・俊平を動揺させる。やがて経済破綻や家族間の亀裂などが明るみに出る中、浩介と俊平は、母のために何かしなくてはと動き始める…。

早見和真の同名小説が原作で、作者の実体験をもとにしているという本作は、家族の愛情が奇跡を呼ぶという物語だ。いわゆる難病ものだが「舟を編む」「川の底からこんにちは」の俊英・石井裕也監督の演出は、これみよがしの感動や修羅場、涙を極力避けた。母の余命宣言という非常事態によって、バラバラだった家族の本当の姿を浮き彫りにした上で、男たちがジタバタしながらも母の救済に向けて団結する姿を、ひょうひょうとしたユーモアを交えて描いていく。多額の借金を抱えた父のふがいない姿もさることながら、真面目すぎて悩みぬく性格の長男とどこか冷めている次男の対比が効いている。母親の余命を宣言されても、何をしていいかもわからない男たちが、それでも何かしようと動きだし、不恰好ながらも奮闘する姿は、難病ものというより、むしろ成長物語のようだ。不満な点をあげるとすれば、母の治療に奔走する姿よりも、金銭面でのゴタゴタの方が印象に残ってしまうことだろうか。本作は、石井監督のテーマである家族映画を、若い感性で切り取って見せた意欲作といえよう。妻夫木聡と池松壮亮の若き演技派2人が好対照で、両親役の原田美枝子、長塚京三のベテラン勢とのアンサンブルも魅力になっている。
【65点】
(原題「ぼくたちの家族」)
(日本/石井裕也監督/妻夫木聡、原田美枝子、池松壮亮、他)
(お涙頂戴度:★☆☆☆☆)
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ハラがコレなんで

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才人・石井裕也監督の新作「ハラがコレなんで」は、とことん前向きな妊婦が主人公。ただ、“粋”という言葉を連発しすぎるのは逆にヤボかも。

24歳の光子は現在妊娠9ヶ月。お腹の子供の父親からは捨てられ、仕事もなければ金もない。散々な状態なのだが、彼女はどーんと構えている。光子のモットーは「粋であること」。アパートを引き払って流れ着いたのは、子供の頃に暮らしたオンボロ長屋だ。周囲の開発から取り残され、下を向いたまま長屋で暮らす人々を見かねた光子は、彼らを助けようと、宣言する。「OK、大丈夫。私がなんとかする!」。光子の幼馴染でずっと彼女を想い続けている陽一は、そんな光子を心配するのだが…。

八方ふさがりなヒロイン・光子は、自分のことより他人の心配ばかりしている女性。だが、回想で語られる光子の幼少期から推察するに、彼女のきっぷの良さは、両親からではなく、毒舌で世話やきの大家さん・清から受け継いだもののようだ。光子が自分のルーツのような清のもとに戻るのは、なんだか胎内回帰のように思え、妊婦という設定と絶妙にリンクして、物語への興味が湧いてくる。清を介護しながら、陽一とその叔父が経営するさびれた食堂を立て直す光子。さらに陽一の伯父の恋のキューピットの役も買ってでる忙しさだ。光子には自分を顧みず人を助ける、義理と人情こそが“粋”の定義なのである。ただ、彼女が“粋”という言葉を頻繁に口に出しすぎて、かえって野暮に聞こえてしまうのは私だけか? 1983年生まれの石井監督世代が感じる粋とはどんなものなのかが知りたくなる。いずれにしても破天荒な妊婦ヒーロー(ヒロインだけれど)が周囲を元気するこの物語、仲里依紗のカラリとしたキャラのおかげで、見ていてるこちらまで励まされる、賑やかな作品に仕上がった。主人公はもちろん、登場人物は善男善女ばかりという設定は、現代社会ではほとんどファンタジー。光子が生む子供の人生がちょっぴり心配ではあるが、こんなところで終わるのか?!というラストが、市井の人のちょっと風変わりな個性を描くのが上手い石井裕也監督らしい。
【60点】
(原題「ハラがコレなんで」)
(日本/石井裕也監督/仲里依紗、中村蒼、石橋凌、稲川実代子、他)
(前向き度:★★★★☆)
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あぜ道のダンディ

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不器用な父親のダンディズムをあたたかい視点で描いたヒューマン・コメディの秀作。石井裕也監督の豊かな才能に改めて驚いた。

地方都市に住む宮田淳一は、妻に先立たれ、配送会社で働きながら男手ひとつで子供を育てている。だが浪人中の息子と高3の娘とはうまく会話がかみ合わない。父として見栄をはり、やせ我慢する淳一だったが、ある日、胃がんで逝った妻と同じ症状を覚え、自分は余命僅かだと思い悩む…。

「川の底からこんにちは」で高い評価を受けた俊英・石井裕也監督の新作の主人公は、50歳を迎えた父親である。“ダンディ”という名の衣を着た中年男に意地と見栄を貫き通させるストーリーは、優しさと笑いに溢れ、時にファンタジーも交えながら巧みに展開し、切なくも魅力的だ。帽子へのこだわり、愛猫と一緒に撮る写真、自分を競走馬に見立てて自転車で走り抜けるあぜ道。すべてがとぼけた可笑し味があるのだが、地方都市で懸命に生きてきた主人公が言う「地位も金もいらないから、せめてダンディでいたい」や「平凡であることを恥じたら終りだ。それはつまり生きていることを恥じるなということなんだ」などのセリフは、シリアスぶらないのに重みがあり、脚本も手掛けた石井監督の、希望を持って生きようという確かなメッセージが感じられる。時にくじけそうになりながらも、家族の絆を守り抜く主人公には、何でも相談できる親友がいるし、2人同時に大学進学してしまう子供たちも本当はしっかりしていて、終盤はホロリとさせられた。主役を演じる名バイプレイヤーの光石研をはじめ、役者陣は皆好演。一生懸命な中年男の美意識をこんなにもカッコよく見せる映画はなかなかない。世の中のお父さん、いや、男性だけじゃなく“ダンディ”に生きる女性までも励ましてくれる、そんな作品だ。
【80点】
(原題「あぜ道のダンディ」)
(日本/石井裕也監督/光石研、田口トモロヲ、西田尚美、他)
(不器用度:★★★★★)
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
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◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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