私の中のあなた [DVD]私の中のあなた [DVD]
生きる権利と死ぬ権利。論議が絶えない難しい問題だ。人生をまだ十分に生きていない、年若い人間の問題となると、なおさらである。映画は、医学や倫理、法律も交えて描きながら、社会派に傾かず、あくまでも家族ドラマとして進んでいく。11歳の少女アナは、白血病の姉ケイトに臓器を提供するドナーとして“創られて”生まれてきた子供。ある日、アナは自分の体を守るため臓器提供の手術を拒否、両親を相手に訴訟を起こす。家族それぞれの思惑が交錯するが、アナの決断の裏には驚くべき真実が隠されていた。

ニック・カサヴェテスはシリアスな問題を柔らかいオーラで包み込む。人間愛を強く感じさせるロマンティックな作風が特徴だ。本作では、まず、一人の子供を救うため、ドナーとして“消費する”目的で子供を作ることが正しいことなのかとの疑問がある。さらにその子が自分の意思で臓器提供を拒否することの是非。痛みや感情を持つ人間としての権利の問題だ。母サラの盲目的な愛情を軸に、一人一人が互いへの愛と思いやりゆえに言葉を呑み込む様子に胸がしめつけられる。物語の半ばで、アナが抱える重大な秘密が明らかになるが、そこでこの一家がどれほど互いを大切に思っているかが伝わって涙がこぼれた。天才子役アビゲイル・ブレスリンが名演だが、長女ケイトを演じたソフィア・ヴァジリーヴァも素晴らしい。誰もが主役であり脇役、全員揃ってひとつの世界が完成する心優しいパズルなのだ。無理な泣きが入ることなく、ストーリーの巧みさと根底の問題提起で感動させる佳作。久しぶりに泣いた。
【70点】
(原題「My Sisters keeper」)
(アメリカ/ニック・カサヴェテス監督/キャメロン・ディアス、アビゲイル・ブレスリン、アレック・ポールドウィン、他)
(問題提起度:★★★★★)

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