映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「ジャスティス・リーグ」「火花」「ギフテッド」「光」etc.

米林宏昌

メアリと魔女の花

メアリと魔女の花 オリジナル・サウンドトラック
明るく活発だが、ちょっと不器用でおっちょこちょいの少女メアリは、自分のそんな性格や赤毛にそばかすというルックスを気にして不満を抱えていた。メアリはある日、森で7年に1度しか咲かないという不思議な花“夜間飛行”を見つける。その花はかつて魔女の国から種を盗み出された禁断の花だった。一夜限りの不思議な力を手に入れたメアリは、魔法大学エンドアへの入学を許されるが、メアリがついたひとつの嘘から、大事件に発展してしまう…。

魔女の国から盗み出された不思議な花を巡って少女が冒険を繰り広げるファンタジー・アニメーション「メアリと魔女の花」。原作は英国の女性作家メアリー・スチュアートの児童文学。ジブリ出身のスタッフが立ち上げた新しいアニメ制作スタジオ、スタジオポノックによる第一回長編作品だ。ビジュアルや世界観にジブリのカラーが色濃いので、既視感があるが、それは同時に、安心感でもある。ジブリの影響から離れるというのは容易なことではないということがよくわかるが、その中で、米村監督はヒロインの少女メアリのキャラクターに今までとは違うテイストを埋め込んだ。魔女や魔法をモチーフとしながらも、メアリはどこまでも人間の女の子。欠点や間違いだらけだが、それを含めて人間の存在を肯定し、運命を切り開くのは、魔法の力ではなく、自分自身なのだと高らかに歌い上げる。ただ、すべての魔法を無効にする力もまた魔法であるという点に矛盾を感じないでもない。いずれにしても、特別な力を持つことは、諸刃の剣で、それ相応の覚悟が必要だということだろう。

「私だって変わりたいんだから!」と叫んでいたメアリは、一晩の不思議な冒険で確かに成長した。ただ、これからメアリは、何度も人生の問題に向き合わなければならない。発展途上のメアリの姿に、新しい一歩を踏み出したアニメスタジオ、ポノックが重なって見える。これからどんな独自色を打ち出してくるのか、期待したい。
【60点】
(原題「メアリと魔女の花」)
(日本/米林宏昌監督/(声)杉咲花、神木隆之介、天海祐希、他)
(成長物語度:★★★★☆)
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思い出のマーニー

思い出のマーニー [Blu-ray]
苦悩を抱えた少女が体験するひと夏の不思議な出来事を描く、スタジオ・ジブリの新作「思い出のマーニー」。脱・宮崎路線がスタートしたようだ。

北海道。自分の殻に閉じこもっている12歳の少女・杏奈は、親元を離れて海辺の村の老夫婦に預けられ、ひと夏を過ごすことになる。杏奈はある日、美しい湿地の対岸に、古い洋館“湿っ地屋敷”をみつけ、その青い窓に閉じ込められている金髪の少女マーニーと出会う。2人はすぐに仲良くなるが、その出会い以降、杏奈の周辺では奇妙な出来事が起こり始める…。

スタジオ・ジブリの新作アニメの原作は、イギリス人作家ジョーン・G・ロビンソンの児童文学。舞台を英国からを日本の北海道に移し替えても、金髪、青い目、外国名の美少女が、何の説明もなくサラッと登場してくるあたりがアニメの力である。ストーリーはファンタジーだが、12歳の少女・杏奈が抱える悩みや哀しみは、驚くほどリアルだ。何しろこの杏奈という女の子があまりにねくらでびっくりする。対照的にマーニーは不自然なほど明るい。だが実はマーニーにも秘密の悲しみや悩みがあって…と、ジブリ初のWヒロインは、共に不幸を内包する。これはなかなか新しいかもしれない。一緒に語り合った森、時を越えた舞踏会、崖の上のサイロ…。終盤は怒涛の展開で、その後には強引とさえ思える謎解きが待っている。だが、例えそれが幻想であろうと現実であろうと、少女たちは、強く結びつくことで、喜びや驚き、愛情をつかみ取ることができるのだ。なぜなら彼女たちの未来の幸福は、傷みや涙と共にあるのだから。巨匠・宮崎駿が去った後のジブリ初の作品を手がけたのは、「借りぐらしのアリエッティ」の米林宏昌監督だ。本作のネガティブさは賛否があろうが、ともあれ、ジブリは独自色を出そうと動きだしている。自然への敬意、命の尊さ、人類愛といった壮大なストーリーもいいが、本作では、まずは自分と世界との折り合いという切実な問題をテーマにしていることが、勇気ある現実肯定に思えた。
【65点】
(原題「思い出のマーニー」)
(日本/米林宏昌監督/(声)高月彩良、有村架純、他)
(ミステリアス度:★★★★☆)
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思い出のマーニー@ぴあ映画生活

映画レビュー「借りぐらしのアリエッティ」

借りぐらしのアリエッティ [DVD]借りぐらしのアリエッティ [DVD]
◆プチレビュー◆
小人の少女アリエッティのまなざしで人間の世界を照射する物語「借りぐらしのアリエッティ」。日常のすべてが冒険に思えてくる。 【70点】

 郊外の古い屋敷の台所の床下に住み、生活に必要なものは人間から借りて暮らす小人の一家。アリエッティは、ある日、人間に姿を見られてしまう。小人の種族では人間に姿を見られたら引っ越さなくてはいけない掟があった…。

 原作はイギリスの児童文学で、メアリー・ノートンの「床下の小人たち」だ。小人という設定はなるほどファンタジーだが、そこには魔法や特別な武器はない。人間にみつからない程度に借りるものは、角砂糖やティッシュなど。それらを借りに行くことを彼らは狩りと呼ぶ。時には、床に落ちたマチ針を獲物にすることも。小人たちは、これらを大切に利用して用心深く暮らしている。過剰な消費に慣れた人間の暮らしとは対極の、慎ましく合理的なライフスタイルだ。そう思うと、借りと狩りをかけあわせた言葉に、思いがけず深い意味を見出してしまう。さらに言えば、物をほとんど所有せず、姿を見られれば移動する彼らには定住の地はないことから、仮、つまり一時的なという意味も読み取れる。小人の少女は人間の少年に出会うが、そこに永続性はないのである。

 主人公の小人の少女アリエッティは、好奇心旺盛な14歳の女の子だ。ある時、油断したために、病気の静養でこの屋敷にやってきた12歳の少年・翔に姿を見られてしまう。翔は“生”への欲求が希薄なためか、小人という不思議をすんなりと受け入れた。アリエッティに話しかけ、角砂糖をそっとプレゼントする。だが翔の過剰な善意は小人の幸せにはつながらないのだ。人間は良かれと思ってやることで、いつだって“何か”を不幸にする。だから小人たちは人間に見られないように用心しているのだが、決して人間社会にこびることはない。彼らの精神は誇り高く、生きることはサバイバルだと全身で納得しているのだ。小人たちのたくましさには敬意さえ覚える。小人のことを滅びゆく種族と考えてしまう翔に対し、アリエッティはきっぱりと言う。「私たちは滅びたりしないわ。仲間はきっといる!」。
 
 魔法がないのに不思議なその世界は、人間の日常を視点を変えてみつめることから、生みだされたものだ。そこにあるものをどれだけ違う価値観でとらえられるか。これが本作の最も味わうべきエッセンスだろう。加えて、ジブリらしい温かみのある絵柄も健在で、特にディティールの細かさに感心させられる。洗濯バサミで髪を束ね、マチ針を剣のように腰に挿すアリエッティの凛々しさ。ドールハウスの内装の繊細さ。緑あふれる庭と光。すべてが魅力的だ。美しさという点では、緑の葉にアリエッティのシルエットが映り、スクリーンのような効果を出したシーンが素晴らしい。人間と小人の世界の境界であるとともに、アリエッティと翔との間に流れる淡い恋心をも映し出すようだ。

 監督の米林宏昌は、これが初監督となるが、数々のジブリ作品に携わってきた実力者で、作画も演出も手堅い。派手なアクションシーンもなければ、幻想的な空間も登場しない。何より説教くさいセリフなどない。最小限の登場人物、身近なものを新鮮に見せるアイデア、生きるという大冒険。これだけでこんなにも映画は広がりを持つのだ。人間に依存しない野生児の小人・スピラーの存在が、アリエッティを新たな冒険の野へと導いていく。愛おしい出会いがあるからこそ、別れは悲しいだけでなく前向きな一歩につながった。日常こそが、真のアドベンチャーであり、異なる種との融合が成り立つ場なのである。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)成長物語度:★★★★☆

□2010年 日本映画 原題「借りぐらしのアリエッティ」
□監督:米林宏昌
□出演:(声)志田未来、神木隆之介、大竹しのぶ、他

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
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新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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