映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「ドリーム」「亜人」「僕のワンダフルライフ」etc.

菅田将暉

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?

映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』オリジナル・サウンドトラック
夏休みの登校日。海辺の町に住む中学生の少年たちは、花火大会を前に「打ち上げ花火は横からみたら丸いのか?平べったいのか?」で盛り上がり、それを確かめるために灯台から花火を見る計画を立てていた。そんな中、典道と祐介は、クラスのアイドル的存在の美少女・なずなに遭遇。なずなは母親の再婚で転校することになっていて、典道は彼女に誘われ「かけおち」しようとするが、なずなは母親からあえなく連れ戻されてしまう。それを見ているだけでどうすることもできない典道は、もどかしさから「もしもあの時、俺が…」との気持ちで、海でみつけた不思議な玉を投げると、なぜか連れ戻される前に時間が巻き戻っていた…。

岩井俊二監督の初期の傑作であるテレビドラマを長編アニメーション化した「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」。“もしも、あの時、自分がこうしていたら…”をテーマに、繰り返される夏の1日を描く、ラブ・ファンタジーだ。1993年のオムニバスドラマ「if もしも」は人生の選択の分岐点をテーマに2つのラストの物語を順番に見せていくというユニークな企画で、岩井作品はその1つだった。人生の選択とは、実写でも、アニメでも、非常に奥深いテーマだが、今回のアニメ化の大きな変更点は小学生を中学生に変え、より恋愛要素を強くしたことだろう。オリジナルを知らなくても、しっかりと内容が伝わる上に、不思議な玉によって1日を繰り返し、さまざまな“もしも…”を描くというファンタジーには、アニメという手法は、よりふさわしいように思う。

思えば、大人になればなるほど“if もしも”を考えることが増える。それは今を悔やむことではなく、もしかしたらあったかもしれない人生に、自分の可能性を見出すことを知ると前向きに考えたい。オリジナルの作者でもある岩井監督曰く、「銀河鉄道の夜」がこの物語のモチーフなのだそうだ。みずみずしい夏の1日に写り込む、切なさや残酷さ、諦念の思いが“電車の中”にいるなずなと典道によって伝えられる様は、なるほど銀河鉄道である。花火の刹那の美、青春の危うさときらめきを、アニメーションの世界で見事に再構築している。
【70点】
(原題「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」)
(日本/総監督:新房昭之/(声)広瀬すず、菅田将暉、宮野真守、他)
(ファンタジー度:★★★★☆)
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銀魂

実写版 映画『銀魂』 オリジナル・サウンドトラック
江戸時代末期。宇宙からやってきた天人(あまんと)台頭と廃刀令により、侍は衰退の一途をたどっていた。そんな時代でも侍魂を忘れずにいる坂田銀時は、ひょんなことから出会った新八、神楽と共に、何でも屋の万事屋を営んでいる。そんな時、江戸の町では、謎の辻斬りが出没。やがて事件を巡り、新八の姉の妙や攘夷志士の生き残り・桂小太郎、江戸の治安を守る特殊警察・真選組らを巻き込みながら、予想もしない騒動が起こり始める…。

パラレルワルールドの江戸を舞台に、普段は無類の怠け者だが、いざとなると仲間のために命がけで戦うヒーロー、坂田銀時の活躍を描く「銀魂」。原作は空知英秋の大ヒットコミックで、過去に劇場版アニメはあったが、今回は初の実写映画化となる。何でもありの原作の奇想天外テイストに加え、福田雄一監督の持ち味である、ユルいギャグ、ボケとツッコミ、出版社や配給会社をクロスオーバーした、権利ギリギリの他アニメネタまで詰め込んで、まさにお祭り状態だ。物語は、原作の中でも人気が高い「紅桜篇」をベースにしたおなじみのストーリーである。

高層ビルが連立し、エイリアンが闊歩する江戸の町で、ユルく生きる銀時たちが、大金目当てにカブト狩りに興じる冒頭から、ギャグ満載だ。何しろ原作から抜け出したかのような実写版のキャラクター再現率が高いので、ビジュアル的な満足度はかなり高い。いつもはだらしないがキメる時はキメるというギャップが魅力の銀時、終始シリアスな高杉、真面目なのに可笑しい、でも美しい桂など、キャストの配役はかなり成功していると見た。個人的には、着ぐるみ感丸出しのエリザベスのキャラが気に入っている(途中、少しだけセリフもある!)。幕府転覆を企てる高杉率いる鬼兵隊とのバトルのクライマックスは、あえて狙ったのか、CGが白々しすぎて物足りないが、何よりも作り手が楽しんでいるのが伝わってくるのがいい。名付けて、オールスターキャストの銀魂コスプレ大会。お祭り騒ぎを、つい堪能してしまった。
【60点】
(原題「銀魂」)
(日本/福田雄一監督/小栗旬、菅田将暉、橋本環奈、他)
(キャラ祭り度:★★★★★)
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帝一の國

「帝一の國」オリジナルサウンドトラック
国内屈指の名門校・海帝高校に首席で入学した新1年生の赤場帝一は、将来、総理大臣になって自分の国を作るという野望を抱いていた。その夢を叶えるため、政財界に強いコネ持ちを、将来の入閣が確約されている生徒会長の座を目指すことに。2年後の生徒会長選挙を見据え、誰よりも早く動き出した帝一だったが、彼の前には800人の超エリート高校生たちというライバルがいた。やがて帝一は、想像を絶する罠と試練が待つ、壮絶な派閥闘争に巻き込まれていく…。

名門高校の生徒会長の座を巡る激しいバトルを描く学園闘争コメディ「帝一の國」。原作は古屋兎丸の大人気同名コミックだ。菅田将暉演じる主人公・帝一が野心の男なら、ライバルキャラたちは、策略、正義、支配、戦術と、それぞれの役割が分かりやすく描き分けられていて、戯画的演出とギャグのつるべうちで笑わせる。時代が昭和という設定なので、どこか浮世離れした雰囲気や、テクノロジーに頼らない戦略が、物語にフィットしているのだ。親の代からの因縁や腐れ縁、誤解に策略が交錯し、生徒会長選挙は余談を許さない。1年生の帝一は、まずは次期生徒会長になる2年生を見極めてその派閥に入るが、そこで、姑息なライバルに罠をしかけられたことで大ピンチに。そんな中、状況を一気にひっくりかえす奇策“マイムマイム事変”には大爆笑した。生徒会長になるためには、どんな汚いことも辞さないと心に決めている帝一が自分の国を作りたい本当の理由は、意外にもセンチメンタルなもの。原作に登場する、帝一の恋人の美美子を巡る恋愛バトルはバッサリと割愛されてしまったので、物語は、イケメン男子たちの学園闘争に絞られた印象だ。恋愛より野心と友情。負けるのではなく勝たせてやる懐の深さに、ピアノ曲・マリオネット(操り人形)のメロディーが不敵に響いた。
【65点】
(原題「帝一の國」)
(日本/永井聡監督/菅田将暉、野村周平、竹内涼真、他)
(カリカチュア度:★★★★★)
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キセキ あの日のソビト

キセキ ーあの日のソビトー 豪華版 [Blu-ray]
厳格な父の反対を押し切って音楽の道を選び、家を飛び出した兄のジン。一方、弟のヒデは父の期待に応え歯科大を目指して勉強していた。ジンのバンドのメジャーデビューが決まるが、商業主義的な音楽業界に失望し、ついに挫折してしまう。そんな時、ヒデと仲間たちの音楽を聞き、その才能を見抜いたジンは、弟ヒデに音楽の夢を託すことを決める。だが歯科医を目指しながら音楽もやりたいということを父に言い出せない。兄弟は、前代未聞の顔出しなしのCDデビューを思いつく…。

異色の4人組音楽グループGReeeeNとその代表曲の誕生秘話を描く「キセキ あの日のソビト」。名曲「キセキ」は誰もが一度は耳にしたことがある大ヒット曲。前向きで説得力のある歌詞と親しみやすいメロディーで多くの人々に愛されている名曲だ。ファンにはおなじみの誕生秘話なのだろうが、私などは、曲は知っていても、どれもが初めて知るエピソードばかりで、なかなか楽しめた。兄弟を演じるのは松坂桃李と菅田将暉という旬の若手人気俳優たちで、二人の演技が繊細で、スッと物語に入り込める。本作はこの二人ありきの作品といっても過言ではない。それにしても兄弟の父親は厳しい。イマドキこんなにも恐ろしい父親がいるだろうか?と首をかしげるが、その分、子どもたちをやさしく見守る母親の天然ぶりがほほえましく、いいバランスになっている。父親に、音楽をやるという決意を告げるシーンは緊張感があり、兄への、あるいは弟への複雑な感情がからむ兄弟げんかのシーンもまたリアルだった。ただ、派手なクライマックスが用意されているわけではないので、映画としては少し盛り上がりに欠ける印象も。それでもすべてを乗り越えて音楽の道へと進むと決めた彼らの凛とした表情が映り、名曲「キセキ」が流れる時、改めて、この曲の素晴らしさが伝わってくる。
【60点】
(原題「キセキ あの日のソビト」)
(日本/兼重淳監督/松坂桃李、菅田将暉、忽那汐里、他)
(さわやか度:★★★★☆)
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溺れるナイフ

溺れるナイフ コレクターズ・エディション(2枚組) [Blu-ray]
東京で人気のティーンモデルだった美少女・夏芽は、ある日突然、父親の郷里である浮雲町に引っ越してくる。刺激のない田舎町で夏芽は、自分が欲する「何か」から遠ざかってしまったと落ち込んでいた。だが、その土地一帯を取り仕切る神主一族の末裔で、跡取りである美しい少年・航一朗、コウと出会い、強烈に惹かれていく。気まぐれでエキセントリックなコウだったが、彼もまた、夏芽の美しさに惹かれ、二人は付き合うようになる。「一緒にいれば無敵!」とさえ思っていた二人だったが、火祭りの夜にある悲劇が起こり、二人の心は離れてしまう…。

10代の男女のヒリヒリするような恋愛を描く青春ラブストーリー「溺れるナイフ」。原作はジョージ朝倉の人気コミックだ。閉塞的な田舎町を舞台に、他人とは違う何かになろうともがきながら生きる、夏芽とコウが、一生に一度の激しい恋に落ちるのは、まさしく運命だ。東京のティーン誌の人気モデルだった夏芽は田舎町で、自分の将来への入り口が閉ざされてしまったと感じているが、独特の輝きを放つ美少年コウの中に未来への可能性を見ることになる。夏芽とコウは、刹那の恋に身を焦がすが、外部からの予想もしない悪意があり、大きな試練にさらされていく。物語も魅力的だが、何しろキャストがいい。夏芽を演じる小松菜奈の少女特有の危うい美貌と、傲慢なまでの美しさと孤独感を漂わせる若き演技派の菅田将暉の化学反応が素晴らしい。さらに上白石萌音や重岡大毅(意外なほど好演!)も上手さをみせる。あくまでも少女漫画原作のきらきらしたティーン映画なのだが、舞台は和歌山の熊野。神が宿るその特別な場所で、夏芽とコウの恋は、神話へと昇華していき、映画は唯一無二の作品になっている。インディーズ映画で経験を積んできた山戸結希監督は本作がメジャーデビューだそう。“壁ドン、顎クイ学園青春もの”とはまったく次元が異なる本作は、胸が苦しくなるほどのまっすぐな青春恋愛映画の秀作だ。
【70点】
(原題「溺れるナイフ」)
(日本/山戸結希監督/小松菜奈、菅田将暉、重岡大毅、他)
(熾烈度:★★★★☆)
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デスノート Light up the NEW world

デスノート Light up the NEW world [Blu-ray]
デスノートの力で世の中に野放しになっていた凶悪犯を破滅させたキラこと夜神月と、命をかけてキラを食い止めたLとの天才同士の死闘から10年。またしても死神がデスノートをばらまき、世界は大混乱に陥った。デスノート対策本部の、キラ事件に精通した三島ら捜査官たちが捜査に当たり、さらに世界的私立探偵にして“Lの正統な後継者”竜崎が加わる。地上には6冊のデスノートが存在する事が判明。その矢先にキラウィルスと呼ばれるコンピューターウィルスが世界中に拡散された。そのメッセージは「他の所有者に次ぐ。速やかに私に差し出せ」とデスノートの提出を呼びかけていた…。

大ヒット作「DEATH NOTE デスノート」シリーズの10年後を背景に、6冊のデスノートがばらまかれた地上での新たなバトルを描く「デスノート Light up the NEW world」。名前を書いた人間を死なせる事ができる死神のノート“デスノート”をめぐる天才同士の死闘は、彼ら亡き後も別の形で受け継がれた。ただ、それぞれの後継者や信奉者が登場する本作は、アクションに舵を切っていて、謎解きや人物造形はきわめて表層的だ。もちろん終盤に、ある人物の驚きの真実が隠されていて、それが大きな仕掛けになっている。だが、頭脳戦こそがデスノートの魅力だと思っているファンには、少々残念な内容だと言わざるをえない。キラやLは未来の世界を見据えて行動していたが、本作の主要キャラ3人は、キラやLを通して自分探しをしているように思えてならない。話が小さくなってしまっては、21世紀の今、続編を作る意味は薄くなるが、この物語が、まだまだ続くとしたら、本作の中途半端なストーリーテリングも、納得するしかなさそうだ。今回はおなじみの死神リューク以外にもベポ、アーマといった新しい死神が登場。そのビジュアルは、美しく個性的で引きこまれる。それにしても死神の世界にもトップがいて序列や競争があるとは。あちらの世界でも人間関係(死神だが…)が面倒そうだ。東出昌大、池松壮亮、菅田将暉といった旬の若手俳優が豪華競演するのが一番の見所である。
【55点】
(原題「デスノート Light up the NEW world」)
(日本/佐藤信介監督/東出昌大、池松壮亮、菅田将暉、他)
(頭脳戦度:★★☆☆☆)
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セトウツミ

セトウツミ 豪華版 [Blu-ray]
高校2年生の瀬戸と内海は、性格は正反対だが何となく気が合う友達同士。放課後はいつも河原でしゃべりながら一緒に過ごしている。くだらない会話、言葉遊び、気になる女の子の話、時にはちょっぴりシリアスなことも話す。そんな二人を見守る同級生の女の子、樫村に瀬戸は憧れているが、樫村は内海に好意を抱いていた…。

男子高校生がただしゃべるだけという異色の青春会話劇「セトウツミ」。原作は此元和津也による人気漫画だ。大きな事件は起こらない。激しいケンカなどのアクションもなければ、障害を乗り越える情熱的な恋愛もない。そんなユルい物語がめっぽう面白いのだから、映画というのは見てみないとわからないのだ。ストーリーらしいストーリーはないが、クールな性格でかぎりなくツッコミに近いボケ役の内海、天然キャラで限りなくボケに近いツッコミ役の瀬戸という脱力系コンビが最高にキャラ立ちしていて、魅せられる。しかも演じるのは、それぞれ池松壮亮と菅田将暉という、今、最も旬な若手演技派俳優たちなのだから、芝居もしっかりしていて、これまた魅力的だ。関西弁の独特のあたたかさや可笑しみも効いている。とりとめのないことをしゃべるだけだが、そのユルい会話のふしぶしに立ち現れるのが、青春期特有の不安、焦燥、そして希望である。ばかばかしくも楽しい時間や理由もなく無気力になる瞬間などが巧みに描かれ、放課後の河原がかけがえのない場所へと昇華していくのだ。主な登場人物は3人(瞬間的に現れては消えていく脇役はかなりいい味!)、ほぼ同じロケーション、上映時間はわずか75分。起承転結という約束事から解き放たれた、秀作青春映画である。
【80点】
(原題「セトウツミ」)
(日本/大森立嗣監督/池松壮亮、菅田将暉、中条あやみ、他)
(まったり度:★★★★☆)
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ピンクとグレー

ピンクとグレー Blu-ray スペシャル・エディション
幼なじみで親友の白木蓮吾と河田大貴は、共に芸能界に入り俳優になるが、人気スターへの階段を駆け上った蓮吾に対し、大貴はいつまでも芽が出なかった。やがて二人は決裂し、数年後に再会するが、その翌日、蓮吾が6通の遺書を残して自殺してしまう。第一発見者になった大貴は、一躍世間の注目の的に。憧れだったスターの座を手に入れた大貴だったが、蓮吾の死によって得た偽りの名声に苦しみ、次第に自分を見失っていく…。

人気アイドルグループNEWSの加藤シゲアキの小説を実写映画化したミステリアスなドラマ「ピンクとグレー」。親友同士の二人の青年は、コインの表と裏のような関係で、彼らの共通の幼馴染の少女サリーとの危うい三角関係風の初恋なども含めて、傷つきながら成長する青春映画のようなストーリーだ。だが上映時間119分のこの映画の幕開けから62分、ほぼ中盤に、ある大掛かりな仕掛けがあり、思わず「そうきたか!」と意表を突かれる。虚と実の対比が、タイトルにもなっているピンクとグレーというカラーイメージなのだろうか。それとも、虚実が入り乱れるのは芸能界という独特の世界の暗喩なのか。アイドル原作(NEWSの加藤シゲアキ)、アイドル主演(Hey! Say! JUMPの中島裕翔)の映画にしては、なかなかビターな味わいの作品だが、後半は明らかに失速する。中盤の仕掛けの謎は映画を見て確かめてほしいが、蓮吾の自殺の動機があまりにも弱い。曖昧な理由で曖昧に命を絶つ彼に「お前は生きろ」と言われても、まったく心に響かないではないか。それこそ「しょーもな」である。むしろ、前半の、愚かで純粋な青春という側面が、俳優たちの好演もあって、キラめいていた。若手実力派の菅田将暉の上手さが光るが、サリーを演じる夏帆が、後半、外見も内面もガラリと変わるのは見ものである。
【55点】
(原題「ピンクとグレー」)
(日本/行定勲監督/中島裕翔、菅田将暉、夏帆、他)
(大転換度:★★★★★)
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明烏 あけがらす

明烏 [Blu-ray]
借金返済で追い込まれる最下位ホストと烏合の衆の12時間の攻防を描く異色コメディー「明烏 あけがらす」。売れっ子の菅田将暉が演じる主人公のダメッぷりが最高!

品川で細々と営業するホストクラブ“明烏”で働くナオキは、指名ゼロの最下位ホスト。ヤミ金融の1000万円の借金返済期限を間近にして金が用意できたことを祝い、宴会を開くが、目覚めると金は消え、同僚ホストはそんな金は見ていないという。あれは夢だったのかとあせるナオキは、金策に奔走する。同僚、金が払えない女性客、田舎から出てきた父親、と人は次々に増えるが、誰も頼りにならない。このままでは12時間後に東京湾に沈められてしまうが…。

古典落語「明烏」や「品川心中」をベースにしたシチュエーションコメディーだが、ヤミ金から借金返済を迫られるという怖ろしげな設定とは裏腹に、すべてがユルくとぼけている。事の発端である用意できたはずの1000万円というお金はどうやら夢だった…というところから、この話には何かオチがあるに違いないと気付くはずだ。監督が「HK/変態仮面」「女子ーズ」の福田雄一らしく、出てくる登場人物はすべてがオバカ揃い。中でも主演のナオキを演じる菅田将暉の意外なコメディーセンスには驚かされた。現在、超売れっ子の彼がアフロヘアのズラをかぶって右往左往するだけで、笑いがこみあげる。福田組の常連ムロツヨシと佐藤二朗らももちろん参戦、相変わらずのしょーもなさで福田映画を盛り上げている。ダメ人間の主人公の窮地には、意外な真実が用意されているが、その驚きは見てのお楽しみ。世の中のキビしさを込み入った手口で教えるという、ちょっと出来すぎのいい話になってしまったが、そこは落語よろしく「おあとがよろしいようで」。
【60点】
(原題「明烏 あけがらす」)
(日本/福田雄一監督/菅田将暉、城田優、若葉竜也、他)
(おバカ度:★★★★☆)
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映画 暗殺教室

映画 暗殺教室 Blu-ray スペシャル・エディション(4枚組)
謎の生物・殺せんせーと落ちこぼれ生徒たちの攻防を描くアクション・コメディー「映画 暗殺教室」。なんと声優はニノだった!

有名進学校椚ヶ丘中学の落ちこぼれクラス3年E組に、ある日、タコ型の謎の生物が担任教師として現れる。E組の生徒たちは国家から来年の3月に地球を破壊すると宣言している「謎の生物(=通称・殺せんせー)の暗殺」の任務を依頼される。暗殺の成功報酬は100億円。渚たち生徒たちは、とまどいながらも殺せんせー暗殺を試みるが…。

原作は松井優征さんの人気マンガ。暗殺と教育というアリエナイ組み合わせがこの物語最大の個性だ。殺せんせーと生徒たちの激しい攻防戦の中に、実は生徒想いの殺せんせーが暗殺を通して行うまっとうな教育によって、落ちこぼれ生徒たちが成長していくという、ユニークかつストレートな物語が練り込まれている。教育の最も歪んだ側面と言えるのは、国家によって、一部のエリートを際立たせるためにあえて落伍者を作るという設定で、これには正直、背筋が寒くなるはず。そんな真面目なテーマも見え隠れするものの、映画そのものはあくまでもアクション・コメディーだ。CGもふんだんに盛り込まれ、殺せんせーのハイスピードな動きや表情など、意図的にユーモラスに作り込まれている。しかし資料によると、この殺せんせーはフルCGだけではなく、特殊造形によるかぶりものをした姿も含めた混合スタイル。ヒューマン・キャプチャーの手作り感は、実は生徒想いで3年E組の生徒たち皆とまっすぐに向き合う殺せんせーのキャラとも合致しているのだ。学園ものらしい楽しさ、笑いと狂気の高嶋政伸の怪演、主役の山田涼介の好演など、意外なほど楽しめるエンタテインメントに仕上がった。さらにギリギリまで秘密にされた殺せんせーの声優は嵐の二宮和也というサプライズのおまけ付!今回は恋愛要素は薄いのだが、原作コミックは今も連載中。物語の続きがちょっと気になっている。
【65点】
(原題「映画 暗殺教室」)
(日本/羽住英一郎監督/山田涼介、菅田将暉、山本舞香、他)
(ユニーク度:★★★★☆)
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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