映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
毎日のレビューは分かりやすく簡潔な寸評で、週1本の長文映画レビューでは作品をディープに掘り下げます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる公開作品 ◎
「ファミリー・ツリー」「ダーク・シャドウ」「サニー」

蒼井優

がんばっぺ フラガール!〜フクシマに生きる。彼女たちのいま〜

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復活を目指すフラガールの笑顔に感動する。ナレーションは映画「フラガール」の蒼井優。ジェイク・シマブクロの優しい音楽が心にしみた。

映画「フラガール」でおなじみの福島県いわき市の大型レジャー施設「スパリゾートハワイアンズ」は、2011年3月11日の東日本大震災で大きな被害を受けた。踊る場所を失ったフラガールたちは、避難所を含めた全国の街に元気を届けようと、46年ぶりにキャラバンを復活させようと決意する。その名も「フラガール全国きずなキャラバン」。かつて、すたれゆく炭坑の街を楽園に変えたフラガール。今、21世紀のフラガールたちはあの頃の彼女たちのように、踊りと笑顔で復興を目指そうとしていた…。

地震、津波、原発、風評被害。これは、かつてない困難に直面したフラガールたちが楽園を取り戻そうと立ち上がった姿を追う感動的なドキュメンタリーだ。描かれるのは、自ら被災しながら避難住民に施設を提供したスパリゾートハワイアンズの営業再開への歩みと、フラガールの全国キャラバンの活動。特に中心に描かれるのは、ダンシングチームのサブリーダーであり避難地域の双葉町出身の大森梨江さん。踊っている間は笑顔で元気に頑張っているが、ペット保護センターに預けた愛犬や愛猫と触れ合うとき、ふと見せる不安や切ない表情は胸に迫る。「あたりまえって何だろうと思うことがあります」との言葉は、大震災が心に残した決して消えない傷跡のようにも思えた。悲しみや不安はある。だが、それ以上に、フラガールの満面の微笑みのおかげで、フラの本質“愛情あふれる精神性”が感じられ、作品を悲壮感から救っているのが嬉しい。映画は、10月1日の、ハワイアンズ営業と一部ショー再開をクライマックスとするため、公開直前まで撮影を敢行。編集は猛スピードで行われただろうことは想像に難くない。しかし、その荒っぽさは欠点にはならず、再びステージに立ったフラガールの喜びに呼応する勢いになっている。ついに復活となった情熱的なステージには、思わず涙が溢れた。フラガールを、福島を、被災地すべてを応援すること。フラガールたちの前向きな笑顔を届けること。この映画にはその力が確かにある。
【70点】
(原題「がんばっぺ フラガール!〜フクシマに生きる。彼女たちのいま〜」)
(日本/小林正樹監督/蒼井優、スパリゾートハワイアンズ・ダンシングチーム、他)
(がんばるぞ、日本!度:★★★★★)
チケットぴあ


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がんばっぺ フラガール!〜フクシマに生きる。彼女たちのいま〜@ぴあ映画生活

洋菓子店コアンドル

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芸術的なスイーツが並ぶ人気洋菓子店を舞台に、挫折を乗り越えて再生し、未来へ進む男女を応援するストーリー。繊細で寡黙なキャラが似合う蒼井優が、空気の読めない無骨な田舎娘を演じているのが珍しい。鹿児島のケーキ屋の娘・なつめは恋人を追って上京、彼が働いていたおしゃれな洋菓子店“パティスリー・コアンドル”を訪ねるが、彼はすでに店を辞めて行方知れずになっていた。行く宛のないなつめは半ば強引に店主の依子に頼みこみ、住み込みでコアンドルで働きはじめる。先輩スタッフに怒られ、失敗ばかりのなつめだったが、ある日店で、元天才パティシエで、スイーツ評論家の十村と出会う…。

本当は捨てられているのに元恋人を強引に追いかけ、彼の才能を勝手に評価するかと思えば、自分から店を辞めた彼を引き止めなかったと言って、店のオーナーやスタッフを「冷たい」と責める。さらに強引に「ここで働きたい」と言いだしてきかない。押しが強いというより、他人の都合も顧みず自分勝手な意見を通す主人公のなつめには、最初はまったく好感が持てない。だが、人生は何が幸いするか判らないもの。田舎のケーキ屋の娘だった彼女の目のうろこを落とすほど絶品のコアンドルのケーキは、もともと負けず嫌いで頑張り屋のなつめのチャレンジ精神に火を付けた。物語はいつしか、すれ違った男女のラブストーリーではなく、ケーキ作りの修行に励む若い女性の奮闘記になっていく。そこに、ある事情から“人を幸せにするケーキ”が作れなくなった元天才パティシエの再生物語や、経営危機に追い込まれたコアンドルの起死回生の勝負がからむ。美味しい食べ物、とりわけスイーツが人を幸せな気持ちにするというのは本当だと思う。だが、この物語の欠点は、主人公のなつめにケーキ作りの才能があるのかどうかがはっきりしないことと、なつめと、コアンドルの店主や十村との絆を描ききれてない点だ。お菓子作りの基礎があるとはいえ、お客を魅了するケーキを作りだすのは簡単ではないはず。頑張っている姿だけでなく、彼女に強いインスピレーションを与えるエピソードが欲しかった。それでも、たとえ未知数のものに対しても夢を託せるのが、若者の特権。がむしゃらに頑張りコアンドルを守ろうとするなつめの奮闘に、閉ざされた十村の心が次第に未来に向かうのは、説得力がある。コアンドルとは“街角”の意味。小さな街かどで出会った美味しいケーキが、元気をくれる。思いがけない展開から自分の居場所を見つけたヒロインが、一ヶ所に留まらず、さらに羽ばたいていくラストがさわやかだった。
【50点】
(原題「洋菓子店コアンドル」)
(日本/深川栄洋監督/江口洋介、蒼井優、戸田恵子、他)
(ビター・アンド・スイート度:★★★☆☆)


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洋菓子店コアンドル@ぴあ映画生活

洋菓子店コアンドル(DVD) ◆20%OFF!

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価格:3,948円(税込、送料別)

雷桜

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日本版「ロミオとジュリエット」との触れ込みなので悲劇に終わるのは予想はつくが、美しすぎる山の自然のためか、むしろおとぎ話のような浮遊感が漂っている。徳川将軍・秀斉の十七男、清水斉道は、心の病の静養のため家臣・瀬田助次郎の故郷・瀬田村に向かう。そこには雷に打たれた銀杏に桜が芽をつけた不思議な巨木“雷桜”があった。一人で山に分け入った斉道は、そこで自由奔放な山の娘・雷と運命的に出会い、恋に落ちる。雷は実は幼い頃行方不明になった助次郎の妹で、庄屋の娘・遊だった。山から里へ降りることになり息苦しさを感じる遊と将軍家の血をひく斉道。共に生きる場所を模索する2人だったが、それは所詮許されない恋だった…。

身分違いの恋という手垢のついた素材を、岡田将生と蒼井優の若手実力派コンビに演じさせたことで、野原に一陣の涼やかな風が吹くような透明感が生まれた。特に雷/遊を演じる蒼井優の山娘が非常に魅力がある。天狗のコスプレで暴れる様子といい、生家に戻って美しい着物を着ても寂しげな表情といい、インパクトのある男言葉といい、もしやこの娘は、雷桜と呼ばれる樹の精なのではないかとさえ思ったほどだ。だが物語は表層的で、雷/遊を連れ去る原因となる藩同士の諍いも、斉道のトラウマとなっている亡き母の血を受け継ぐ心の病についても、まるで深みがない。物語はあくまでも純愛ラブストーリーで、しかも、時代的の形をしているが、ムードは現代劇そのものだ。何しろ斉道のセリフが軽い。徳川将軍家の殿さまがこの時代に「愛している」という言葉を言う陳腐さに脚本家は気付いていないのか。最後の経年のエピソードもありがちなものだ。ただ、遊が一世一代の賭けに出る場面の「おまえをかどわかしに来た!」というセリフはいい。子供の頃に自分を連れ去った育ての親への愛と、叶わぬ恋に挑戦するには、今いる場所から消えるしかないという悲しい決意が込められている。斉道の飼う鷹が最初と最後に効果的に登場し、鷹の視点で下界を見下ろすショットがあるのが、ひらめきを感じさせ印象に残った。居場所がないと感じる男女の出会いと別れを俯瞰で見下ろし、運命に抗って愛を貫こうとする二人を見守っているかのようだった。
【55点】
(原題「雷桜」)
(日本/廣木隆一監督/岡田将生、蒼井優、小出恵介、他)
(現代風度:★★★★☆)

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REDLINE

REDLINE スタンダード・エディション 【DVD】REDLINE スタンダード・エディション 【DVD】
体感型の興奮が味わえるとのキャッチコピーが納得のアニメーションの力作。10万枚を超える作画枚数で作り上げた力技に脱帽する。エアカーが爆走する遠い未来。宇宙最速の座を賭けて5年に一度の祭典“REDLINE”が開催される。ドでかいリーゼントがトレードマークのJPは極限までスピードを追い求める天才レーサーだが、実は、初恋のソノシーをふり向かせるために走っている純情男だ。JP、ソノシー、さらに個性豊かなライバルたちが参戦するカーレースREDLINEは、ルール無用のデッドヒート、もちろん武器搭載は当たり前である。そんな中、JPの親友で天才メカニックのフリスビーの裏切りが発覚する…。

日本を代表するアニメ制作会社マッドハウスが、CGでは獲得できない表現を求めて、人物、背景までも手描きにこだわった究極のアニメーションは、なるほど魅力的だ。カーレースのスピード感と、個性的なキャラクターたち、クールでポップな色彩の洪水。どれをとっても興奮させられる。作品のコンセプトは“刺激的な映像”、根底にあるのは、友情と純情だ。フリスビーの裏切りを知りながらマシーンに乗るJPは、どこまでも天才ドライバーだし、JPが思いを寄せるソノシーをはじめ、女性キャラはどこまでもセクシー。JPのチームメイトのもぐらオヤジがいい味を出せば、登場するマシーンはデフォルメの極致のフォルムだ。それ以外にも、濃すぎるキャラクターがまるで劇中に舞う紙吹雪のごとく乱舞。彼らの後ろにはそれぞれ魅力にあふれた物語があるだろうことが透けて見えるが、それは観客の脳内に留め、物語はあくまでもぶっちぎりのレースに終始する潔さが心地よい。ここには壮大な物語のラストだけがアニメとして具現化されている。極限まで遠近法を引き延ばしたヴィジュアルは常識を超えながら2Dの頂点に立つものだ。音響・音楽がこれまたノリがよく、サウンドがこの映画のもうひとつの主役と言っても過言ではない。声優陣はビッグネームだが、人間と海洋族のハーフ、ソノシー役の蒼井優が特にいい。漫画、劇画、アニメ。そのすべての要素がミックスされながら、どれでもない奇跡のような濃密な空間が、スクリーンに広がっている。こんな手作りの作品は二度とは作れないだろう。物語性を捨ててまで映像を追求したこのアニメーション、まずは必見である。
【65点】
(原題「REDLINE」)
(日本/小池健監督/(声)木村拓哉、蒼井優、浅野忠信、他)
(密度の高さ度:★★★★★)


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FLOWERS フラワーズ

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今の日本映画界を代表する若手美人女優がここまで勢揃いしてくれるとは、何とも豪華な企画だ。昭和11年、進歩的な娘・凛(りん)は親同士が勝手に決めた結婚に納得できず、式の当日に花嫁姿のまま家を飛び出してしまう。昭和30年代、凛の3人の娘、薫(かおる)、翠(みどり)、慧(さと)は、それぞれ悩みを抱えながらも、高度経済成長を遂げる日本で懸命に生きていた。そして現代、平成の時代を生きる娘・奏(かな)と佳(けい)は、母である慧からの手紙によって生きる素晴らしさと母の愛を知ることになる…。

日本の四季のうつろいの美しさは、昭和初期から平成の現代まで変わることはない。時代は違っても、幸せになろうとまっすぐに前を向く女性たちの美しさもまた、変わらないものだ。夫の死、女性の社会進出、病の中での出産、さらにシングルマザーになる決意。6人の女性をとりまく環境はさまざまだが、彼女たちの人生を勇気付けているのは、母の愛情の深さである。物語は大河ドラマというほど大げさなものではないが、ひとつひとつの物語が丁寧で、演じる女優たちも力まずにさりげない演技をみせているのが好ましい。竹内結子演じる薫のエピソードには、思いがけない謎が仕込まれて哀愁を漂わせ、田中麗奈演じる翠の物語では、社会の中での女性の立場と意識を改めて考えさせられる。登場時間やセリフは少ないが、最初と最後に登場する蒼井優の古風な表情が忘れられない。母娘なのに6人の女優たちがまったく似てないのはご愛嬌だし、男性の影があまりに薄いのは苦笑してしまう。キャスティングは、まるで某化粧品メーカー主催のプロモーション・ビデオのよう。それでもこんな企画は女性を元気にしてくれるし、映画ファンへのプレゼントのようで何だか嬉しい。
【60点】
(原題「フラワーズ」)
(日本/小泉徳宏監督/蒼井優、鈴木京香、竹内結子、田中麗奈、仲間由紀恵、広末涼子、他)
(豪華キャスト度:★★★★☆)

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いけちゃんとぼく

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いけちゃんとは何者か?この謎が本作の感動の震源だ。謎が解けたとき、ファンタジックな愛に泣かされる。悪ガキのいじめに屈しない少年よしおのそばには、彼にしか見えない不思議な生き物いけちゃんがいた。

幼いながらに現実の痛みを知るよしおは、自分だけの世界を持っている。その異界に入れる唯一の存在、それがいけちゃんだ。いけちゃんの声を担当する蒼井優のおおらかな“演技”が魅力的で、思わず感情移入してしまう。よしおがいけちゃんと別れるときのやるせなさ。そして思いがけない再会の驚き。いけちゃんの告白に、切なさがこみあげた。この物語がラブストーリーだったとは。思い出が最も輝くのは、過去と現在が交錯した瞬間なのだと分かる。見終わると、冒頭に登場するお墓参りのシーンが胸にしみた。
【65点】
(日本/大岡俊彦監督/蒼井優(声)、深澤嵐、ともさかりえ、他)
(不思議度:★★★★☆)

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百万円と苦虫女

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ほろ苦いこの青春映画の地味な蒼井優は、圧倒的に魅力がある。ひょんなことから前科者になった鈴子が、各地を転々としながら徐々に成長する姿を描く物語だ。不器用な女の子がポツリと言う「自分を探したくない。探さなくてもいやでもここにいるから」というセリフが深い。人と距離を置きながらもどこかで人を求めてしまう気持ちが切なくてリアルだ。印象的なのは弟や恋人と遠慮がちに手をつなぐしぐさ。ほんのり希望があるラストも秀逸だ。
【75点】
(日本/タナダユキ監督/蒼井優、森山未來、ピエール瀧、他)
(地味系コスプレ度:★★★★☆)

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クワイエットルームにようこそ

クワイエットルームにようこそ 特別版 (初回限定生産2枚組) [DVD]クワイエットルームにようこそ 特別版 (初回限定生産2枚組) [DVD]
ヘビーな主題を軽やかなノリで描いた松尾スズキの快作。監督自らが執筆した同名小説が原作だ。薬の過剰摂取で閉鎖病棟に入院するハメになった女性の再生物語である。内田有紀が魅力的で、脇を固める個性的なキャラも豪華。拒食症の患者を演じた蒼井優が特に印象深い。精神病棟という密室空間にふさわしい狂騒に、舞台のような演出がさえまくる。寂しいのに前向きになれるラストが秀逸。
【85点】
(日本/松尾スズキ監督/内田有紀、宮藤官九郎、蒼井優、他)
(ほろ苦度:★★★★☆)

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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