映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「あさひなぐ」「ナミヤ雑貨店の奇蹟」「プラネタリウム」「ユリゴコロ」etc.

重松清

幼な子われらに生まれ

幼な子われらに生まれ (幻冬舎文庫)
バツイチの中年のサラリーマン・信は、2人目の妻・奈苗と再婚。今度こそ幸せな家庭を築きたいと願っているが、奈苗の連れ子と上手くいっておらず、前妻と暮す娘との面会を楽しみにしていた。そんな時、奈苗の妊娠をきっかけに、情緒不安定になった長女・薫が反抗的な態度を取りはじめ、本当の父親に会いたいと言い出す。奈苗は元夫のDVが原因で離婚しており、薫が彼に会うことは信も奈苗も反対だった。ぎくしゃくする家庭に疲れた信は、現在の家族に息苦しさを感じてしまうのだが…。

再婚した中年男性が新たに授かった命をめぐり家族関係を模索する姿を描く人間ドラマ「幼な子われらに生まれ」。原作は直木賞作家・重松清の小説だ。家族や仕事に悩みながら、精一杯誠実に生きていこうする平凡な中年男・信を演じるのは、尖がった役が多かった浅野忠信で、このキャスティングはとても新鮮だ。専業主婦で依存心が強い奈苗、信の前妻でキャリア志向の友佳、平凡や退屈を嫌って奈苗と別れた沢田。登場人物たちは誰もが、鬱屈とした心情を抱えて生きている。田中麗奈、寺島しのぶ、宮藤官九郎らのアンサンブルの演技も味がある。男性と女性では、共感する部分も異なるはずで、そのあたりの温度差をセリフで上手く表した脚本もいい。観ている間はずっと息苦しいのだが、悩んだり失敗したり、傷ついたり傷つけられたりしながら、懸命に家族になろうとする不器用な人々の姿には、感動すら覚える。

家族のつながりとは?という普遍的なテーマは、洋の東西を問わず繰り返し映画で描かれてきた。血のつながりのない家族と、血がつながった他人という複雑な家族関係の中に、新しい命が宿ることで、彼らの関係性はどう変わるのか。これはちょっとしたサスペンスである。友佳の「理由は訊くくせに、気持ちは訊かないの、あなたって」のセリフにはどきっとさせられるが、終盤、何かが変わり始めた信が父親として薫に発する言葉に、ツギハギだらけの家族が、それでも強くて優しい家族に変化するための“ヒント”が見えた。自分の気持ちを偽らず、相手の気持ちを量り、歩み寄る行為の繰り返し。家族とは、何と、めんどくさくて愛おしい存在であることか。安易な癒し系ムービーの初期作品から、らしくなかった前作「少女」を経て、三島有紀子監督自身が、鋭く深いヒューマンドラマの作り手へと変わろうとしているように思えた。
【65点】
(原題「幼な子われらに生まれ」)
(日本/三島有紀子監督/浅野忠信、田中麗奈、池田成志、他)
(不器用度:★★★★☆)
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恋妻家宮本

恋妻家宮本 Blu-ray
子どもが独立し、結婚25年目にして夫婦二人だけの生活になったことで困惑する宮本夫妻。中学教師の夫・陽平は、ある日、妻・美代子側の記入欄がきっちりと記載された離婚届を見つけてしまう。激しく動揺するが妻に問いただす勇気もなかった。悶々としていた陽平は、趣味の料理教室の仲間や学校の教え子と関わる中で、家族や夫婦の在り方を見つめ直すことになる。そんな中、突然、美代子が家を飛び出してしまう…。

子どもが独り立ちした熟年夫婦の危機をコミカルに描く「恋妻家宮本」。原作は重松清の小説「ファミレス」だ。主人公の夫婦は、ファミレスでの合コンで知り合うが、ファミレスはことあるごとに象徴的に登場する。ちなみに夫の陽平は優柔不断な性格で、ファミレスに行くと、メニューが多すぎて、自分が食べたいものを注文することができないダメ人間だ。中学教師だが、生徒からも軽く見られている。それでも陽平は、自分は決して悪い人間ではないし、浮気もせず、勤勉に働き、給料もきっちりと妻に渡す真面目な人生を送ってきたので、夫婦には何の問題もないと安心していたのだ。そこでみつけた離婚届は、彼にとっては爆弾級の驚きだったに違いない。料理教室の仲間や、生徒たちなど、それぞれ個性的なのだが、映画全体は、ぼんやりとした印象だ。だがその“ぼんやりした感じ”は欠点ではなく、本作の個性である。ストーリーの重要なモチーフとして、吉田拓郎の「今日までそして明日から」が登場するが、その歌詞こそが、夫婦の、引いては、ごく平凡な市井の人々の生き様を表してる。“時には、誰かの力を借り、時には誰かに裏切られ。明日からもこうして生きていく”。シニア向けの作品だが、迷える大人の背中を押してくれるような小品だ。
【50点】
(原題「恋妻家宮本」)
(日本/遊川和彦監督/阿部寛、天海祐希、菅野美穂、他)
(とまどい度:★★★★☆)
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十字架

十字架 [DVD]
中学2年生の秋。いじめを受けていたクラスメイトのフジシュンこと藤井俊介が自殺する。遺書によって“親友”にされてしまった真田祐(ユウ)、自分の誕生日がフジシュンの命日になってしまった中川小百合(サユ)、息子をいじめた生徒ばかりではなく見殺しにした“親友”のユウのことを恨むフジシュンの父親、息子の思い出にすがりつく母親…。それぞれが十字架を背負い、共に苦難の20年を過ごすが…。

多くの作品が映画化される人気作家、重松清の吉川英治賞を受賞した同名小説を映画化した「十字架」。いじめにより自ら命を絶ったクラスメイトの周辺にいた人間の、それぞれの形で背負わされた十字架と、彼らの心の軌跡を描いている。親友にされてしまったユウの人生は、まさにフジシュンとともに歩んでいるかのようなものだ。「親友ならばなぜ助けなかった!」とユウを責める父親の叫びは、見て見ぬふりは、いじめと同じ同罪なのだとはっきりと訴えている。このあたりは「ソロモンの偽証」でも描かれていたが、傍観者であったことは、フジシュンの周囲にいた大人も同じなのだ。テーマはタイムリーだし、小出恵介、木村文乃の演技も安定している。父親を演じる永瀬正敏がこれまた良い。「地雷を踏んだらサヨウナラ」などの五十嵐匠監督の演出も丁寧だ。だがひとつだけ問題点が。それは中学時代を同じ小出、木村が演じているということで、いくらなんでも年齢的に無理がある。演技力で劣っても、ふさわしい年齢の若手俳優を使うべきだった。映画は、傍観者だった人間に焦点をあてることで、どんな立場にいようとも、いじめと真正面から向き合ってはじめて未来を見ることができると訴えている。重い内容で、正直、見るのはつらいが、大切なことを描いた作品だ。
【60点】
(原題「十字架」)
(日本/五十嵐匠監督/小出恵介、木村文乃、富田靖子、他)
(シリアス度:★★★★★)
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アゲイン 28年目の甲子園

アゲイン 28年目の甲子園 [Blu-ray]
野球を通して苦い過去を乗り越えて再生していく大人たちのドラマ「アゲイン 28年目の甲子園」。マスターズ甲子園の存在を初めて知った。

元高校球児、坂町晴彦、46歳。スポーツ新聞社に勤める彼は、離婚した妻亡き後、一人娘とも絶縁状態だった。そんな坂町のもとを、かつて共に甲子園出場を目指した野球部仲間の娘・美枝が訪ねてくる。美枝の父が27年間出さずにいた年賀状の住所から坂町の存在を知り、自身がボランティアとして参加するマスターズ甲子園への出場を勧める。今更…と一度は断った坂町だが、実は彼らが甲子園出場の夢を断たれたのは美枝の父が起こしたある事件のせいだった。だが“あの夏”に決着をつけて前に進むために、坂町はついに出場を決意する…。

原作は、重松清の同名小説。高校野球のOBたちの夢の舞台「マスターズ甲子園」の存在を、この映画で初めて知ったが、映画は、中年男たちのどこかで人生をあきらめてしまった現在と、白球を追った青春時代の過去を交錯させて描いていく。美枝の父がかつて起こした事件によって夢を断たれた男たちは、心にわだかまりを抱えたまま、年を重ねた。負けたのならまだあきらめはつくが、負けることさえ許されなかったとなれば、いくら自分の心に蓋をしたとしても、決して前に進むことはできない。過去の不祥事事件の真相は意外な形で解き明かされ、その真実が分かったとき、かつての球児たちと同様、観客の胸にも熱いものがこみあげるだろう。印象的なのは「負けるならばきちんと負けてケリをつけたい」との言葉。負けることの意味やそこから何かを学び取る強さは、年齢を重ねた大人だからこそ分かる人生の滋味なのだ。出演者には野球経験者も多くいて、クライマックスの野球シーンは、実際に甲子園球場で撮影されたとのこと。中年オヤジたちが重い腰をあげて野球を始めるまでが少々長すぎるのが難点だが、本作は、数ある野球映画の中でも“大人たちの夢”を形にした点がユニークで新鮮だった。
【60点】
(原題「アゲイン 28年目の甲子園」)
(日本/大森寿美男監督/中井貴一、波瑠、和久井映見、他)
(オヤジ応援度:★★★★★)
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青い鳥

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いじめ問題を扱う映画だが、被害者を不在にして加害者の意識を問うスタンスがユニーク。いじめを苦にした生徒が自殺未遂事件を起こしたクラスに、吃音の臨時教師・村内がやってくる。いじめた生徒の存在を忘れることをひきょうだと言う村内は、無人の机に挨拶を続けるが、そのことによって学校に波紋が広がっていく。うわべだけ問題を解決し、やりすごそうとする大人。それを見抜き表面だけ反省する生徒。村内はその両方を許さない。どこからともなくやってきて“世直し”を行い、ふいに去っていく。これは学校を舞台にした「ペイルライダー」だ。阿部寛が少ないセリフで静かに熱演。
【75点】
(日本/中西健二監督/阿部寛、本郷奏多、伊藤歩、他)
(ナイーブ度:★★★★☆)

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その日のまえに

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大林作品に死はつきもの。だか今回は感動を演出する方法に誤りがある。物語は、余命わずかと宣告された妻と、彼女を見守る夫や子供たちの最後の日々をつづるものだ。たたみかけるようなセリフやカット割は、残り少ない人生を静かに大切に生きる人物の描写には不適切。モチーフとして多用する宮沢賢治の世界観もフィットせず、いきなり素人芝居が入り込んだように見える。この物語はストレートな家族愛だけで十分なはず。美しい詩や音楽は小道具としてさりげなく使うべきだ。過剰なノスタルジーや叙情性が、習慣化した作家性としか映らないようでは才人・大林宣彦の名がすたる。
【35点】
(日本/大林宣彦監督/南原清隆、永作博美、筧利夫、他)
(感動度:★★☆☆☆)

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きみの友だち

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静かだが1本筋が通った青春映画の秀作。孤独な少女二人の友情を軸に、喪失感と共に今を生きるヒロインの成長を描いていく。現在と過去を行き来しながら、いくつかの独立した話をつなげるが、ヒロイックな人物ではなく、陰にいるタイプをスケッチするのがこの作品の個性だ。大勢の友だちに囲まれるより、本当に大切な友を忘れない。たとえ彼女がこの世から消えてしまっても。雲の写真の個展に、そっと加えられる二人の写真が感動的だ。
【70点】
(日本/廣木隆一監督/石橋杏奈、北浦愛、吉高由里子、他)
(繊細度:★★★★☆)

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プロフィール
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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