映画通信シネマッシモ


映画通信シネマッシモは、2018年4月をもって、終了しました。

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長い間のご愛顧に心より感謝いたします。

野村萬斎

花戦さ

花戦さ [DVD]
戦国時代末期。京都の中心、頂法寺六角堂の花僧・池坊専好は、天下統一目前の織田信長の前で見事な生け花を披露し、茶人の千利休らの心をつかむ。直後、思わぬ失態から信長の怒りを買うが、それを救ったのが若き武将・木下藤吉郎、後の豊臣秀吉だった。それから十数年後、秀吉が天下人となるが、愛息・鶴松を亡くして正気を失った秀吉は圧政を敷き、共に美を追い求めた専好の友・利休を自害に追い込む。さらに一般庶民をも粛清する秀吉に対し、専好は、武力ではなく生け花の力で、一世一代の戦いを挑もうと決意する…。

時の天下人・豊臣秀吉に刃ではなく花で戦いを挑んだ華道家元・初代池坊専好の姿を描く歴史劇「花戦さ」。物語の着想を得たのは、鬼塚忠による小説だ。秀吉と茶道は、茶人の千利休との確執が有名で、しばしば映画でも描かれるが、秀吉と華道という組み合わせの作品は非常に珍しい。若き池坊専好は、立花の名手だが、ひょうひょうとした性格の花僧で、戦国の乱世で命を落とした無縁仏の前で手を合わせ小さな花を供えることで、世の平穏を願う心優しい人物である。前半は、信長の前での立花や人々に生け花を教える姿、秀吉の茶会での奮闘や口をきかないワケありの少女とのエピソードなど、ほのぼのとした人情劇のよう。だが、秀吉が、極度の被害妄想のため、敵対する武将だけなく、自分の意のままにならない利休を死に追いやり、ついには冗談半分の陰口をたたいただけの庶民まで、粛清で命を奪うようになる後半の物語はシリアスで悲しみを帯びる。政治とは無縁のはずの専好だったが、狂気の秀吉の暴挙を止めるため、花を使った命がけの“戦い”を挑むクライマックスは、美しくも壮絶だ。終盤には、絵が得意で心を閉ざした少女・れんの存在が効いてくる。出世も名誉も興味がなく、ただひたすらに花を愛した人間が、花を武器に、命を賭けて、権力者に意見する。天下を取ろうとする信長のため、日々の暮らしを楽しむ町衆のため、秀吉から追い詰められた利休の翻意を促すため、幼くして逝った秀吉の子の魂を慰めるため。その時々の花は、すべて大切な人への美しくも強いメッセージとなって画面に現れた。主役級の俳優たちの豪華競演もさることながら、花そのものが主人公のような役割を果たしている。凛と咲く花の中に、生きる願いと平和への祈り、理不尽な権力に立ち向かう勇気が込められている映画だ。
【65点】
(原題「花戦さ」)
(日本/篠原哲雄監督/野村萬斎、森川葵、市川猿之助、他)
(勝負度:★★★★☆)
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スキャナー 記憶のカケラをよむ男

スキャナー 記憶のカケラをよむ男 [DVD]
残留思念を読み取る能力を持つ仙石は、能力を活かしてお笑いコンビ“マイティーズ”として人気を博す。だが、その能力ゆえに神経をすり減らし、コンビ解散後は、マンションの管理人として引きこもり状態だった。相方の丸山もまたピン芸人として鳴かず飛ばずでクビ寸前。そんな丸山に、解散したマイティーズに、行方不明となったピアノ教師・沢村雪絵を探して欲しいという依頼が舞い込む。事務所の女社長はマイティーズ復活を目論んで、仙石に事件の捜査を手伝わせるよう丸山に命じるが…。

物や場所に残った人間の記憶や感情“残留思念”を読み取る能力を持つ男とその相棒が難事件に挑む「スキャナー 記憶のカケラをよむ男」。この特殊能力に関しては韓国映画「サイコメトリー 残留思念」でも描かれていたが、本作の場合、どこかコミカルな演出だ。現代劇初挑戦となる狂言師の野村萬斎と、俳優としてのキャリアも順調な雨上がり決死隊の宮迫博之という、凸凹コンビの組み合わせが、それだけで笑いを誘うからだろう。事件は、残留思念という能力なしにはなりたたない、少々強引な捜査で解決へと向かうのだが、その根底にあるのは切ない思い出。実際、こんな能力があればほとんどの難事件は解決できそうなのだが、そこには人間のあいまいな記憶というやっかいな代物が。記憶は自分の都合のいいように書き換えられるのだから、単純に読み取ればいいというワケではないのだ。改ざんされた過去の記憶をどう紐解いていくかが見所となっている。それにしても、萬斎と宮迫のコンビはいい味を出していた。野村萬斎は、正直、時代劇の方がフィットしていると思うが、このコンビには、次の難事件にも挑んでほしくなる。
【50点】
(原題「スキャナー 記憶のカケラをよむ男」)
(日本/金子修介監督/野村萬斎、宮迫博之、木村文乃、他)
(切なさ度:★★★☆☆)
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のぼうの城

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強大すぎる敵に立ち向かった実在の武将・成田長親の姿を描くユニークな時代劇「のぼうの城」。水攻めのシーンは今見ても胸が痛む。

戦国時代末期。天下統一目前の豊臣秀吉は、唯一残された敵・北条勢を圧倒的な軍勢で攻めようとしていた。周囲を湖で囲まれ「浮き城」と呼ばれる「忍城(おしじょう)」もその一つ。その城には領民から“のぼう様(でくのぼうの意味)”と呼ばれながらも、不思議な人気で人心を掌握する成田長親という城代がいた。石田三成は秀吉から預かった大軍で忍城へと向かい、降伏を迫った。だが三成の使者のあまりになめきった態度に、長親は思いもよらない言葉を発する。「戦いまする」。そしてわずか500の軍勢と2万の大軍との、ありえない戦いの火ぶたが切って落とされた…。

原作は2003年城戸賞を受賞した和田竜の脚本「忍ぶの城」を、「のぼうの城」として小説化した痛快時代小説である。本来は、2011年に公開するはずだった映画だが、東日本大震災の後、劇中に描かれる水攻めのシーンが、かの大災害を思い起こさせるとの、被災者の方々への配慮から公開が延期になった経緯があり、1年後の2012年にようやく劇場公開の運びとなった。スペクタクル時代劇である本作は、監督2人体制という珍しいスタイルで演出されている。おそらくドラマパートを犬童一心、アクションパートは樋口真嗣と、役割分担したのではあるまいか。ともあれ、物語の軸は、日本人の特徴的な感情である、弱者・敗者に同情し声援を送るという“判官贔屓”のスピリットだ。降伏して当然という豊臣軍の態度の前に、のぼう様はムッとしたのだろう、思わず「戦う」と宣言してしまう。忍城が最後まで落ちなかったというのは史実だし、成田長親も実在の人物だが、映画は、頼りないのに不思議なほど周囲から好かれる中年男のリーダーシップを描くことで、負けるとわかっていても戦う意義を問う。その結果、思わぬ形で、ボコボコの負けが引き分けに近い負けへと転じる様を描くものだ。圧倒的なスケールのセット、前述の水攻めのシーンの迫力、一人一人のキャラクターのとぼけた楽しさと、魅力は多い。だが落ち着いて考えると肝心ののぼう様はいわば狂言回しのような薄味の役。時代劇とはいえ、演出や人間描写は極めて現代的だ。肉食系アクションに草食系キャラのこの映画、人間ドラマよりアクションが勝った印象が残る。湖上での田楽踊りが最大の見せ場というのがその証拠だ。ともあれ、敵の鼻を明かして一矢報いる。これもまた日本人好みのエモーションかもしれない。
【60点】
(原題「のぼうの城」)
(日本/犬童一心、樋口真嗣監督/野村萬斎、榮倉奈々、成宮寛貴、他)
(ユーモア度:★★★★☆)
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