映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「ゲット・アウト」「ブレードランナー 2049」「先生」etc.

阪本順治

エルネスト

映画『エルネスト』オリジナルサウンドトラック
南米・ボリビア出身の日系二世・フレディ前村は、医者を志してキューバのハバナ大学に留学する。だが1962年、キューバ危機を迎え、大学内も混乱し、学生たちは民兵として志願するか、祖国へ帰るかの選択を迫られることに。そんな時フレディは、キューバ革命の英雄チェ・ゲバラと出会い、そのカリスマ性に魅了され深い理念に感銘を受ける。やがてゲバラの部隊に入隊したフレディは、ゲバラと同じエルネストを戦士ネームとして授けられた。そして彼らは、ボリビアの軍事政権を倒す戦いに身を投じていく…。

チェ・ゲバラと行動を共にした日系二世のフレディ前村ウルタードを題材にしたドラマ「エルネスト」。チェ・ゲバラのことは当然知っていたが、彼と行動を共にしたフレディ前村の存在を、この映画で初めて知った。母国ボリビアが政情不安定なため、キューバで医学を学んだこの青年は、とても誠実で、真面目で、理想と正義に身を捧げたロマンチストだ。ゲバラが目指した革命は、フレディのような、名もない戦士たちの情熱に支えられていたのだと改めて知る。そしてそこには当然、多くの犠牲が伴うことになる。

チェ・ゲバラが重要な役割を果たすが、物語の主役はあくまでもフレディである。彼は、激動の時代の中でも、友人を作り、淡い恋をし、勉学に励んでいたのだが、そこにチェ・ゲバラやカストロといった巨星がふいに現れて、人生を決定付けていくあたり、人間の運命の不思議を感じてしまう。少し残念なのは、実在の人物で、革命に準じた日系二世の英雄というフレディの出自からだろうか、作品があまりにも生真面目な作りで、見ていて少々面白みに欠けること。前作「団地」のユルさや笑いのセンスが素晴らしかっただけに、どうしても不満を感じてしまうのだ。とはいえ、全編スペイン語のせりふで静かな熱演を見せるオダギリジョーは素晴らしいし、チェ・ゲバラが日本の広島の原爆慰霊碑に献花した秘話も、とても効果的に描かれていて心に残る。アメリカに依存し続ける現代の日本には、理想に生きたフレディの存在そのものが「君たちはそれでいいのか?」との問いかけに思えた。
【65点】
(原題「エルネスト」)
(日本・キューバ/阪本順治監督/オダギリジョー、永山絢斗、ホワン・ミゲル・バレロ・アコスタ、他)
(歴史秘話度:★★★★☆)
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団地

団地 [Blu-ray]
大阪に住む山下ヒナ子と夫の清治は、とある事情で、営んでいた漢方薬店をたたみ、団地に引っ越してきた。ヒナ子はパートに出て、清治は散歩ばかりしていたが、ささいな出来事から清治が家に引きこもってしまう。急に清治の姿が見えなくなったことで、団地の住人たちは妄想を膨らませ、ヒナ子が清治を殺してバラバラにしたという噂が広まり、ついにテレビ局が取材に訪れる。さらに奇妙な立ち居振る舞いの青年が山下家を訪れて、事態は思わぬ方向へと進み始める…。

大阪の団地を舞台に、住民たちが繰り広げる奇妙な騒動を描く異色コメディ「団地」。阪本順治監督と藤山直美が「顔」以来、約16年ぶりにコンビを組んだ作品だが、実にユニークな快作(怪作)に仕上がっている。近年の阪本監督は「北のカナリアたち」「人類資金」と、個人的にはさっぱりノレない作品ばかりでがっかりしていたが、本作は初期大阪作品群に通じる面白さがあって、久しぶりに阪本節全開だ。ただ、重いテイストだった「顔」に対し、本作はまさかの展開でぶっ飛ぶライトな不条理喜劇。監督自身が星新一や筒井康隆の短編に影響されたと語っているように、最初は団地内でののっぴきならない人間関係を描きながら、物語半ばで大胆にもSFにシフトするから驚いた。だがこの唐突な展開の中にも、ヒナ子と清治が息子を失くした悲しみや、噂が噂を呼ぶ団地コミュニティの日常、人それぞれの死生観まで盛り込んで、深みを出しているのはさすがだ。藤山直美と岸部一徳のW主演の二人はさすがの芸達者ぶりで文句ない存在感だが、意外なほど好演なのは謎の青年を演じる斎藤工。「高台家の人々」といい本作といい、人間離れした役が続くが、あきらかにこちらがハマッている。先読み不能の展開と、時空を超えた不思議なハッピーエンド。ウン、阪本順治監督ってやっぱり“おもろい”人だ。
【70点】
(原題「団地」)
(日本/阪本順治監督/藤山直美、岸部一徳、斎藤工、他)
(奇想天外度:★★★★☆)
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北のカナリアたち

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東映創立60周年記念作品のヒューマン・サスペンス「北のカナリアたち」。北海道の大自然の映像に圧倒される。

北海道、日本最北の離島にある生徒6人の分校で教師をしていた川島はるは、ある事件によって島を追われる。20年後、東京の図書館で働くはるのところへ、教え子の一人が殺人事件を起こしたとの知らせが届く。「なぜあの子が…」との思いから、はるは20年ぶりに島を訪れ、真相を知るために教え子たちと再会することに。成長した生徒たちは皆、はるが島を追われるきっかけとなった事件のことで、深く傷つき、悩みを抱えて生きていた…。

原作は湊かなえの小説「往復書簡」の一編「二十年後の宿題」。例によって年齢不詳の美しさを見せる大女優・吉永小百合が、主人公のはる先生を演じる。たった6人の生徒の分校で、生徒たちの合唱の才能に気付き、彼らを導く熱心な教師、重い病の夫を気遣う献身的な妻と、清楚でまっすぐな役柄は吉永小百合のイメージそのものだが、実は彼女が演じるヒロインは、今回、理性では絶ち切れない恋心があって…という役なのが新しい。幼い生徒たちとの楽しい日々と、大人になった彼らを訪ね、真相とわだかまりを知る重苦しいプロセスが行き来するスタイルだが、サスペンス要素は薄く、むしろ、はる先生とその夫、生徒の嫉妬や屈折した心が引き起こした事件をそれぞれがどう捕えていたかを描き分けるヒューマンドラマと言えるだろう。成長した生徒達を演じるのは、森山未來、満島ひかり、勝地涼、宮崎あおい、小池栄子、松田龍平といった若手実力派で、皆、好演。だが事件の鍵となる、はる先生と傷心の警官の“不倫もどき”という、本来ドラマチックであるべき部分がサラッとしすぎて、肝心の情念が伝わらず、印象があまりに薄い。大女優・吉永小百合の立ち位置ゆえの演出なのだとしたら、とても残念なことだ。バラバラになったと6人は、20年後も実は固く結ばれていたという友情もまた、綺麗すぎるほど感動的。良く言えば端正、悪く言えば物足りない気分が残るストーリーだが、それでも見所は多い。名カメラマン木村大作による、荒々しい北海道の大自然を切り取った力技のようなカメラワークには圧倒される。凍てつく最北の地で、互いに寄り添うことでのみ温もりを見出す教師と生徒の心情を、遠くにそびえる雄大な山や険しい岬、広大な湿原などの風景を真正面からとらえることで見事に表現していた。オーディションの際に、声で選んだというだけあり、子役の子供たちの美しい歌声が、いつまでも心に残る。
【60点】
(原題「北のカナリアたち」)
(日本/阪本順治監督/吉永小百合、柴田恭兵、仲村トオル、他)
(サスペンス度:★★☆☆☆)
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北のカナリアたち@ぴあ映画生活

大鹿村騒動記

大鹿村騒動記【DVD】大鹿村騒動記【DVD】
阪本組の常連俳優たちによる大人のコメディ「大鹿村騒動記」。役者たち自身が楽しんで演じているのが伝わってくる。

長野県の山麓地帯にある大鹿村。村歌舞伎で有名なこの村で鹿料理の店を営む善は、村歌舞伎を生きがいにしている花形役者だ。そんな彼のもとに18年前に駆け落ちして村を出奔した妻の貴子と幼馴染の治が戻ってくる。脳の病気で記憶を失っている貴子を、治は「ごめん。善ちゃんに返す」という。困惑し、心乱れる善はついに芝居を降りる!と言い出し、そこに大型台風まで接近。果たして伝統ある村歌舞伎の幕は開くのだろうか?!

この映画、ひと言でいえば、初老の男女3人の色恋騒動だ。作品の規模も物語のスケールもごく小さいのだが、妙に心地よいのは芸達者な俳優たちの存在が際立っているからである。だが実はそれだけではない。村歌舞伎の演目とストーリーがリンクする展開、リニア新幹線誘致と戦争の影という新旧のバックグラウンド、さらにひょっこりと村に現れる性同一性障害の青年という異化効果。脚本がなかなかひねりが効いていて秀逸なのだ。撮影期間はわずか2週間だったそうで、監督はじっくりと演出するのではなく名優たちの一発勝負の演技とアドリブで、勢いを大事にしたという。それはそのまま舞台が持つ一期一会の魅力にもつながっている。大鹿村に実在する300年の伝統を誇る村歌舞伎の演目は、平家の落ち武者が大暴れする「六千両後日文章 重忠館の段」。認知症を患う貴子は、自分が駆け落ちしたことさえ忘れているが、なぜか善と結婚するきっかけになったこの芝居で演じたセリフを覚えていた。このことが、小さな村に吹き荒れる恋の嵐に答えを出してくれる。にぎやかな群像劇は阪本順治にしては珍しいスタイルだが、本作は味わい深い人情喜劇に仕上がった。鹿料理店の名称が名作映画をもじったような「ディア・イーター」というのが可笑しかった。
【65点】
(原題「大鹿村騒動記」)
(日本/阪本順治監督/原田芳雄、大楠道代、岸部一徳、他)
(ほろ苦度:★★★★☆)
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大鹿村騒動記@ぴあ映画生活

大鹿村騒動記 【DVD】

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価格:3,899円(税込、送料別)

座頭市 THE LAST

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生活感あふれる座頭市という視点が新しいアクション時代劇だ。市は盲目の流れ者で剣の達人。数々の修羅場をくぐってきたが、愛する妻タネのため、人を斬る生活を捨てて静かに暮らすことを決意する。しかし、市を追うヤクザとの戦いでタネが命を落とす。身も心も傷ついた市は、故郷の村に辿り着き、旧友の柳司のもとに身を寄せ、百姓として暮らし始める。村を牛耳る非道な天道一家に苦しめられる村人は、市に助けを求めるのだが…。

座頭市といえば言うまでもなく故・勝新太郎の当たり役で、近年、他の俳優で何度か映画化されてきた。この役は、勝新のイメージからどれだけ離れられるかが成功のカギとなる。香取慎吾は残念ながら、そして当然ながら勝新の立ち回りにもとぼけたユーモアにも遠く及ばない。だが本作の新しい点は、市の背景に一般人と同じ生活感を持たせたことだ。居合斬りの名人で博打好きという設定はそのままだが、女房もいればカタギの友人もいる。昔好きだった女性も登場し、市の人生がぐっと身近に感じられる。百姓として静かにまっとうに生きたいと願っても、逃れられない運命にからめとられていく市の定めは、あまりにも切ないものだ。意思に反して人間の命を奪いながら暗闇に生きる市に対し、狂気を秘めたヤクザの親分・天道はまるで底なしの白い闇。演じる仲代達矢の演技が圧倒的だ。男の熾烈な世界を活写するのを得意とする阪本順治監督だが、本作ではラブストーリーをベースに描いている。竹藪の中での斬り合いや、雪の中でのクライマックスなど、映像はシャープで美しいが、四季折々の風景のおだやかな映像が印象に残ったのは、そのためかもしれない。
【55点】
(原題「座頭市 THE LAST」)
(日本/阪本順治監督/香取慎吾、石原さとみ、反町隆史、他)
(ユーモア度:★★☆☆☆)

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カメレオン

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この映画の長所と短所は、共に藤原竜也の存在だ。陰謀に巻き込まれた主人公が、仲間や恋人の復讐に立ち上がるクライム・アクション。故・松田優作を想定して書かれたという主人公は虚無的で危険な男だが、耐えた末に爆発する展開は昔のヤクザ映画と同じで古臭い。いっそSFにでもすれば面白かったか。藤原竜也は舞台で鍛えた演技とアクションが見事だが、力み気味の芝居が浮いてしまうのもまた事実。この俳優は使い方が難しい。
【45点】
(日本/阪本順治監督/藤原竜也、水川あさみ、塩谷瞬、他)
(髪型がビミョー度:★★★★☆)

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魂萌え!

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男っぽい映画のイメージが強い阪本監督らしからぬ女性映画。原作は桐野夏生の同名小説。50代の主婦への応援歌で女性のたくましさを感じさせるが、何十年も夫の浮気に気付かない妻というのはいかがなものか。風吹ジュンのナチュラルな魅力は好感度大。
【70点】
(日本/阪本順治監督/風吹ジュン、三田佳子、加藤治子、豊川悦司、常磐貴子、田中哲司、寺尾聡、他)
(女性が元気度:★★★★☆)

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
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新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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