映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「美しい星」「光をくれた人」「家族はつらいよ2」「光」etc.

高畑充希

ひるね姫 知らないワタシの物語

ひるね姫 オリジナルサウンドトラック
岡山県倉敷市で父親と二人で暮らす高校生の森川ココネは、最近、一日中眠気に襲われ、どこでもウトウトしてしまう。しかも同じ夢ばかり見ているのだ。2020年の東京オリンピック開幕が迫ったある日、父が突然警察に逮捕され東京に連行されてしまう。無口で不愛想だが犯罪者になるような父ではない。そう信じるココネは幼馴染の大学生・モリオを強引に巻き込んで、東京へ向かう。途中、怪しげな者たちに遭遇しながら、ココネは両親の秘密を知り、この事件解決の鍵は、いつも見る夢の中にあることに気付く…。

のどかな地方都市で暮らすヒロインの冒険と、親子の絆を描くアニメーション「ひるね姫 知らないワタシの物語」。夢と現実がリンクし、夢が事件解決の糸口となるファンタジー・アニメだ。ヒロインは夢と現実を行ったり来たりしながら、家族の秘密や、企業の陰謀に立ち向かうというのが大筋である。アニメーションの魅力のひとつは、非現実をダイナミックに描けることだが、そもそもこの物語、ファンタジーにする必要があるのだろうか? 主人公のココネは、女子高生らしい可愛らしさと元気な性格が魅力の女の子で、家族や友人、進路や将来への不安といった問題を抱えながら、平凡な毎日を送っているという設定は観客のリアルな共感を呼ぶ。父の突然の逮捕から、ココネが知らなかった両親の秘密を知るプロセスも、家族ドラマとして、しっかりとリアルで描くべき題材。現実だけで物語を進めた方がより深い物語になったのでは…と、どうしても思ってしまうのは私だけではないはずだ。比べるわけではないが、メガヒットとなったアニメ「君の名は。」以降、多くの作品が影響を受けすぎて、似たようなファンタジー、似たような色彩に傾きすぎているように思う。もちろん丁寧に描かれたヴィジュアルは魅力的だし、高畑充希の歌も味わい深い(どうしても某コンビニのCMを連想してしまうのが玉にキズだが…)。本編には不満が残るものの、エンドロールで描かれる、父と母のラブストーリーが素敵だったので救われた。
【50点】
(原題「ひるね姫 知らないワタシの物語」)
(日本/神山健治監督/(声)高畑充希、満島真之介、古田新太、他)
(親子愛度:★★★★☆)
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アズミ・ハルコは行方不明

アズミ・ハルコは行方不明 [Blu-ray]
地方都市に住む28歳、独身のOL・安曇春子は、実家で両親と祖母と暮らしている。祖母の介護で疲弊した家庭、セクハラ三昧の発言がまかり通る会社と、春子の毎日はストレスばかり。そんなある日、春子は突然姿を消す。20歳の愛菜は成人式の会場で、同級生・ユキオと再会。なんとなく会って遊んだり、なんとなく身体の関係を持つ。一方、街では、無差別に男たちをボコる女子高生集団が暗躍している。春子が消えた街では、行方不明のポスターをグラフィック・アートにした落書きが不気味に拡散していった…。

寂れた地方都市を舞台に、アラサー、ハタチ、女子高生の三世代の女性たちの生き方を独特の感性で活写する群像劇「アズミ・ハルコは行方不明」。原作は山内マリコの同名小説だ。独身OL春子が消える前と消えた後の時間が交錯し、男たちが異物のように物語に混入するスタイルが個性的である。劇中で重要な役割を果たしているのが、ポップアートと化した、ハルコの顔とMISSINGの文字を組み合わせた落書きの連作だ。ポップアートといえば、アンディ・ウォーホールなどに代表される都会的な大衆文化が思い浮かぶ。若者文化の代名詞で、現代では、バンクシーなどの覆面アーティストがストリート・カルチャーを引っ張っている。アズミ・ハルコの行方不明のポスターは、愛菜のボーイフレンドらによって、街に拡散し、謎めいたムーブメントになっていくのだが、ハルコのアートが拡散した街は、都会的なムードとはほど遠い、閉塞的でダサい地方都市。このギャップが面白い。本作は、ミステリーとは違う。高らかな成長物語でもなければ社会派でもない。ただ、女性が抱える鬱屈や諦念は、不思議なほど伝わってくるし、垢ぬけない場所で暮らすモヤモヤと未来への不安、それでも生きていく強さが、時系列を崩しエピソードをシャッフルしたぐちゃぐちゃな構成から、フワリと伝わってくる。それはもしかしたら、時代の空気のかけらなのだろうか。どんよりと暗い蒼井優、今までになくチャラい高畑充希と、難しい役を的確に演じた女優たちの魅力が際立っていた。
【70点】
(原題「アズミ・ハルコは行方不明」)
(日本/松居大悟監督/蒼井優、高畑充希、太賀、他)
(ポップ度:★★★★☆)
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植物図鑑 運命の恋、ひろいました

植物図鑑 運命の恋、ひろいました 豪華版(初回限定生産)[Blu-ray]
仕事もプライベートも行き詰っている平凡なOL・さやか。ある晩、マンションの前で行き倒れていた青年・樹と出会い、「噛みません。しつけのできた良い子です。お嬢さん、俺を拾ってくれませんか」と頼まれる。樹は料理上手で家事全般を担当するという条件で、さやかとの半年間という期限付き同居生活がスタートした。植物に詳しく野草を使った料理を作ってくれる樹のことは、名前以外知らないが、さやかは「彼氏じゃないんだよね…、同居人なんだよね…」と思いながらも、次第に惹かれていく…。

「図書館戦争」「阪急電車」など、著書の多くが映像化されているベストセラー作家・有川浩の恋愛小説を映画化した「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」。この原作の評価はあえて問わないが、実写映画化でこれは、ない。家の前で空腹で行き倒れている見知らぬ男性(いくらイケメンとはいえ…)をいきなり自宅に招き入れて泊めたあげく、半年間の同居生活?? あまりにありえない設定なので、これはもしや夢オチかも…と、あらぬ妄想をしてしまったくらいだ。物語は、平凡で内気、自己主張さえできなかった孤独な女性が、心優しい男性と出会い恋に落ちたことで、成長するという、ありがちだが、決して悪くないストーリーなのだ。それなのに、出会いや、名前以外わからない、彼には秘密が…という設定があまりにもリアリティに欠けるので、まったく共感することができない。お花の冠や2人での料理作りなどの甘くさわやかな演出も、見ているこちらは、テレというより脱力感が先にたって、これなら「きみはペット」の方が何倍もリアルじゃないか!と叫びたくなる。映画ではまだまだビギナーの岩田剛典は演技は期待できないので柔らかな笑顔で勝負。いうまでもなく、若手演技派の高畑充希の緻密で繊細な演技が唯一の評価ポイントだ。
【30点】
(原題「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」)
(日本/三木康一郎監督/岩田剛典、高畑充希、阿部丈二、他)
(リアリティ度:★☆☆☆☆☆)
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女子ーズ

「女子ーズ」Blu-ray 本気版 初回生産限定版
突如として地球を守るヒロイン戦隊に任命された女子たちの奮闘を描く「女子ーズ」。5人の女子のキャラがしっかり立っているのがいい。

名字に色が入っているだけで、チャールズ司令官から、ヒロイン戦隊“女子ーズ”のメンバーにされてしまった5人の女性たち。世界征服を企む邪悪な怪人たちから地球を守るため、5人が揃ったときに繰り出す無敵の必殺技・女子トルネードを武器に戦いに挑む、だが、仕事に恋に、美容にヤボ用と、何かと多忙な女子たちは、なかなか揃わない…。

「コドモ警察」などの異才・福田雄一監督は、かねてから戦隊ヒーローものが撮りたかったそう。しかも女性バージョンで。意外性と脱力感が福田監督の持ち味で、それは本作でも存分に発揮されている。責任感が強く5人のリーダーであるレッド、貧乏なイエロー、ギャル風のブルー、お嬢様のネイビー、夢見がちなグリーンと、それぞれのキャラもはっきりしているが、そのギャグはユルユルで、単発の笑いもおそらくあえてはずしている。それでも「100回泣くこと」の桐谷美玲をはじめ、藤井美菜、高畑充希、有村架純、山本美月という旬の美少女たちが揃った図はなかなか壮観。怪人のネーミングはバカバカしいが、「待って」と頼むと律儀に待ってくれる怪人の優しさもまたナイスなのだ。戦隊ものへの敬意はほとんど感じられず、むしろ正義感たっぷりで必要以上に熱い戦隊ヒーローへの皮肉が感じられる。そもそも本家アメリカでもアメコミ・ヒーローは等身大だ。悩みもすれば失敗もするし、自分の事情で任務を後回しにすることだってある。地球を守りながらも、自分の人生を生きねばならないのだ。まぁ、そんなことは見ている最中はどうでもよろしい。だって、本作はあくまでも脱力映画、肩の力を抜いて楽しむのが正しいお作法だ。ちなみに劇中に登場する「二十世紀少年」ネタには思わず笑った。
【50点】
(原題「女子ーズ」)
(日本/福田雄一監督/桐谷美玲、藤井美菜、高畑充希、他)
(脱力度:★★★★☆)
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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