映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
毎日のレビューは分かりやすく簡潔な寸評で、週1本の長文映画レビューでは作品をディープに掘り下げます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる公開作品 ◎
「ファミリー・ツリー」「ダーク・シャドウ」「サニー」

麻生久美子

ロック 〜わんこの島〜

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三宅島大噴火を題材に、故郷への思いと家族の絆を描く物語。子供と動物のダブル共演で、テッパンの作りだ。

2000年8月、伊豆諸島の三宅島・雄山の大噴火により、全島避難が勧告される。島で民宿「たいよう」を営む野山一家は、愛犬のロックと苦渋の別れをすることに。だが間もなくロックが行方不明になったことを知る。子犬の頃からロックを育てた、小学生の芯(しん)は、慣れない避難生活を送る東京で、いつか必ず島に帰り、ロックと共に暮らすと決心していた。そんな時、一家は、噴火災害動物救護センターで保護されたロックと奇跡の再会を果たすのだが…。

この物語は、フジテレビの情報番組「めざましテレビ」の人気コーナー「きょうのわんこ」が取材した、犬のロックと飼い主の実話をもとにしている。犬と少年を通し、天災がもたらすさまざまな困難と、希望を失わず懸命に支え合う家族の絆を描いている。苦しい避難生活は、時には心が折れそうになるのだが、芯の家族はいつも気丈だ。物語は、ロックが奇跡的に生きていたという部分をクライマックスにはしていない。ペットが飼えない避難住宅で暮らす芯が、ロックにとって何が本当に最善の選択なのかを、幼いながらに懸命に考え、自分で結論を出す。一瞬の出来事である奇跡の再会ではなく、先が見えない避難生活の中、生きることをしっかりと考えた少年の決断とけなげな姿に主眼を置いた演出が好感が持てる。さらに、大災害に見舞われながらも、雄大な美しさを留める三宅島の魅力的な風景も心に残った。ただ、三宅島を襲った天災の恐ろしさと避難生活の苦しい実態が、東日本大震災のそれと重なって見えるのは私だけではないだろう。噴火による地震は小さいが、その揺れる映像には心穏やかではいられない。感動的な物語だが、なかなか復興が進まない現状を思うと、正直、見ていてつらかった。せめて、この物語のメッセージである、勇気や希望が届いてくれればと願う。
【60点】
(原題「ロック 〜わんこの島〜」)
(日本/中江功監督/佐藤隆太、麻生久美子、岡田義徳、他)
(成長物語度:★★★★★)



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ロック 〜わんこの島〜@ぴあ映画生活

シーサイドモーテル

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豪華キャストのアンサンブル・ストーリーだが、4つの話の絡み具合が物足りない。辺ぴな山奥にあるモーテルに、偶然11人の男女が集まる。4部屋それぞれの密室で繰り広げられるのは、予測不可能なドタバタ劇だ。インチキ美容クリームを扱うセールスマン亀田と三十路前のコールガールのキャンディの騙し合い。3000万円の借金から逃げてモーテルに隠れるギャンブラーの朝倉と恋人の留衣の部屋にはヤクザが取立てにやってきてヤキを入れる。マンネリ気味の社長夫婦に、お目当てのキャバクラ嬢を連れ込んだ常連客も。ワケアリの男女が繰り広げる運命の一夜は、はたしてどんな朝を迎えるのか?!

アンサンブル・ストーリーはバラバラの物語がいかに調和していくかが最大の楽しみだが、本作はアンサンブル(合奏)というよりソロ(独奏)に近い。窓の外を通過したり、TVに写ったりはするが、他の部屋の人物との関係性に面白味が薄いので、普通のオムニバス映画といった印象だ。ひとつひとつは決して悪くはない。ロマンス担当の生田斗真と麻生久美子は美男美女ながらどこかコミカルだし、詐欺師とヤクザのハイテンションな勝負には、山田孝之と玉山鉄二の二人がブッ飛んだやりとりを見せる。古田新太の女装姿というトンデモないオマケまである。恋、仕事、金、人生。海もないのに「シーサイドモーテル」と名付けられたその場所にふさわしく、彼らのやりとりにはフェイク(にせもの)がたっぷりつまっているが、偽物の中から生まれる本物もあるということか。その証拠にドン詰まりのギャンブラー朝倉には「インチキでもさ、いつか本物になる日がくるんだよ」とのセリフがある。まぁ、この映画が“本物”かどうかは甚だ疑問だが。タランティーノの「フォー・ルームス」の濃厚な味には遠く及ばないが、豪華キャストを楽しむにはいいだろう。
【50点】
(原題「シーサイドモーテル」)
(日本/守屋健太郎監督/生田斗真、麻生久美子、山田孝之、他)
(マンガチック度:★★★★☆)

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ウルトラミラクルラブストーリー

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全編津軽弁で描く不思議系の恋愛映画だ。舞台は青森。風変わりで子供のような農業青年が東京から来た女性に一目ぼれし、初恋を実らせようと常識はずれの方法で猛アプローチ。やがて奇跡が起こる。

分かりやすさから出来るだけ離れようとしている作品で、それは農薬によって日常から離脱する主人公の言動とも重なっていく。あっけにとられるラストも含めて、新人監督・横浜聡子の個性を感じる映画だ。全体的に軽いテイストで演技も嘘臭い感じがちょっと面白い。この作品が好きかと問われると疑問なのだが、何か新しい流れが生まれる気配を感じてしまうのは否定できない。トンデモナイ役柄で演技するARATAなど、役者のすっとぼけた雰囲気を味わいたい。ありえないことが集まると“進化”が生まれる。それは映画も同じだ。
【60点】
(日本/横浜聡子監督/松山ケンイチ、麻生久美子、渡辺美佐子、他)
(ヘンテコ度:★★★★★)

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おと・な・り

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人生に迷う大人が主人公だが、展開は少女漫画のようで、偶然に頼るラブストーリーだ。古びたアパートの隣同士に暮らす聡と七緒は、壁越しに聞こえる生活音を通して互いが気になり始める。熊澤監督らしい清潔感あふれる演出の中、思わぬ悪意に傷つく様子などビターな一面もあって、ハッとさせられた。だが、男女が顔を合わせることなく“音”で癒される設定が作品の個性なのに、音の力が恋の決定打にならないのは物語として弱い。冷静に考えると、隣の音が筒抜けなどという生活は御免なのだが、奇麗事の物語を“ナチュラル”と勘違いできれば楽しめよう。あくまでもささやかなお話として、もっと短くまとめてポエティックな作品にするべきだったのではないか。会話だけで恋の成就を示唆したエンドロールがしゃれていた。
【50点】
(日本/熊澤尚人監督/岡田准一、麻生久美子、谷村美月、他)
(ほんわか度:★★★★☆)

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インスタント沼

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三木聡監督得意の言葉遊びとナンセンス・ギャグが満載でにぎやかな作品だ。出版社を辞めたOLハナメは、実の父で変人の“電球”と出会い、思いつきで骨董屋をはじめる。次々に起こる妙な出来事の果てにお宝が眠るという蔵の鍵を手にすることに。ヒロインは迷信や占いなど目に見えないものは信じないタチなのだが、ガラクタにしか見えない骨董の中に実は夢があると気付いたとき“お手製の”沼からビックリするものが現れるという展開はちょっと愉快だ。いい大人と言える年齢のヒロインのテンションの高さには違和感を感じるが、見かけとは裏腹に人のいいパンクロッカーのガスの存在がほっとさせてくれた。この世ならぬモノが見えてしまうのが怖いような羨ましいような、そんな気になる脱力系ヒューマン・コメディである。
【45点】
(日本/三木聡監督/麻生久美子、風間杜夫、加瀬亮、他)
(ジリ貧度:★★★☆☆)

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コドモのコドモ

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のどかな地方都市、ほんわか顔の子役たちとムードはソフトだが、描くのは小学生の妊娠・出産とハードなものだ。賛否両論は覚悟で、命の意味をとことん考えてと呼びかけている。春菜とヒロユキは興味本位で“くっつけっこ”という遊びをする。春菜は妊娠するが、大人には相談できず小学生だけで子供を産むことに。妊娠・出産をこうまで軽く扱われても…という思いは禁じえない。だが同時に、ひたむきな“命を殺さない”決心は、まぶしいほど。もっとも、イマドキの小学生がこれほど純真とも、性についてこんなに無知とも思えないので、本作はファンタジーとして見るに限る。
【60点】
(日本/萩生田宏治監督/甘利はるな、麻生久美子、谷村美月、他)
(問題提起度:★★★★☆)

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アキレスと亀

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夫婦愛の形を借りた芸術残酷物語だ。画家の真知寿(まちす)は妻の支えで絵を描き続けるが、まるで評価されない。やがて夫婦は奇行に走るようになる。絵のことしか頭にない真知寿と彼がとり憑かれている芸術は、いわば怪物。献身的な妻でさえ、夫がアーティストでなかったらここまで彼につきあったかどうか。主人公の周囲の人が次々に死ぬのが象徴的で、芸術は麻薬のように中毒になる。それは映画も同じで、流行に翻弄される風潮を北野流ギャグで批判するスタイルが素晴らしい。取って付けたようなハッピーエンドは芸術へのリバウンド。薄気味悪くも鋭い作品で、油断禁物だ。
【70点】
(日本/北野武監督/ビートたけし、樋口可南子、柳憂怜、他)
(タイトルが上手い度:★★★★☆)

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純喫茶磯辺

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ダメ人間たちを描く悲喜劇だが、完全にツボが違ってしまい最後までノレなかった。思いつきで喫茶店を始めたぐうたら親父としっかり者の娘の日々を描く。個性的な客は一瞬芸的に描かれるだけで面白味を感じるまでには達していない。最近流行のカフェ映画の好感度の源は、なごむこと。その意味で、この作品は別ジャンルだろう。10代のヒロインの目線で描くので、幸福も不幸も不安定なのはリアル。閉鎖した磯辺の前で涙ぐむ場面は印象的だ。
【40点】
(日本/吉田恵輔監督/宮迫博之、仲里依紗、麻生久美子、他)
(コスプレ度:★★★☆☆)

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映画レビュー「夕凪の街 桜の国」

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◆プチレビュー◆
被爆者の心と体の消えない傷を、何気ない日常の中で描く新感覚の原爆映画。どこかの政治家に「しょうがなかった」なんて絶対に言わせない! 【80点】

昭和33年の広島。皆実(みなみ)は原爆で生き残ったことに負い目を感じながらも同僚からの愛を受け入れようとする。それから半世紀後、現代の東京で暮らす皆実の姪の七波(ななみ)は、挙動不審の父を追って広島へと旅をする。2つの物語でつづる被爆者の悲しみと生きる希望とは…。

どこか寂しげな表情の麻生久美子の入魂の演技が素晴らしい「夕凪の街」は、原爆症発症におびえるあまり愛に臆病になる皆実の物語だ。近年、懐かしさと楽しさで描かれがちな昭和30年代だが、こと広島(と長崎)は復興の気運の裏側に癒しがたい傷があったのだと思い知らされる。若くして死を迎える皆実の運命に、多くの人が涙するだろう。だが、この映画の真の求心力は現代から被爆を考える七波の物語「桜の国」にこそある。現代っ子らしい、はつらつとした七波を演じる田中麗奈の、麻生久美子と同じくらい深い演技を見てほしい。七波は旅を通して、父親の秘密や自分のルーツ、今も感じる原爆の影を知る。その過程で、彼女と同様、戦争を知らない私たちの中で、広島はヒロシマになる。被爆2世、3世の体に居座る原爆の痕跡と、何気ない日常のいとおしさの対比に、平和の尊さが見えた。皆実から七波へ、白い髪飾りが受け継がれるように、過去と現在の二つの物語はやがて一つに溶け合っていく。

また、この物語は原爆を直接的に描かない。これが現代に生きる私たちと共有できる視点を与えてくれた。原爆投下直後の地獄絵は、予算の都合もあったのだろうか、実写ではなく印象的な「原爆の絵」が使われる。自らの体にケロイドの跡を残しながら原爆のことには口をつぐむ人々。この深い悲しみとあきらめも、ナレーションでさらりと語る。さらには、被爆者が同じ被爆者を差別する実態は、原爆投下時だけを描いていては決して発見できない歪んだ哀しみだ。忘れてはいけない。向き合って、受け入れて、生きねばならない。原爆を単なる歴史上での出来事ではなく、今もこれからも、途切れることのない悲劇として描くこと。これは、立ち位置を“現代”において初めて可能になる。

この作品は、皆実と七波という二人の若い女性を通して、戦争への憤りを浮き彫りにするが、決して女性特有の視点ではない。戦争は知っていても原爆を知らない人々の目線、また広島に生きる人も含め全ての現代人の目線で見る映画だと思う。「原爆は落ちたんじゃのうて、落とされたんよ」、「生きとってくれて、ありがとうな」。心に染みる言葉が多かった。時折挿入されるコミカルな場面は、ふんわりとした灯火(ともしび)のように温かだ。ラスト、瞳に涙をためながらも、堂々と前を向く七波から、生きる喜びを教えられた気がする。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)アプローチの良さ度:★★★★☆

□2007年 日本映画 
□監督:佐々部清
□出演:田中麗奈、麻生久美子、藤村志保、堺正章、他

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古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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