映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週末の公開映画から オススメの1本! ◎
チリ他合作映画「ナチュラルウーマン」

:映画

手紙は憶えている

手紙は憶えている [Blu-ray]
老人介護施設で暮らす90歳のゼヴは、最愛の妻ルースが死んだことさえ忘れてしまうほど、認知症が進行していた。ある日、同じ施設にいる友人マックスから手紙を託される。そこには、ゼヴとマックスが果たすべき約束が書かれていた。二人はアウシュビッツ収容所の生存者で、大切な家族をナチスの兵士に殺されていた。そしてその兵士オットーは、身分を偽りルディ・コランダーという偽名で今も生きているという。体の不自由なマックスにかわって、ゼヴは復讐を決意。託された手紙とかすかな記憶だけを頼りに単身で旅立つが、彼を待ち受けていたのは人生を覆すほどの衝撃の真実だった…。

アウシュビッツの生存者が家族を殺した兵士に復讐するためにたどる旅とその顛末を描く人間ドラマ「手紙は憶えている」。90歳の認知症の老人ゼヴが復讐の旅に出るが、前日のことも忘れている彼は、その度にマックスからの手紙をみないと自分が何をすべきかがわからないという、かなり危機的な状況の旅だ。それでもゼヴは、復讐の相手の同名の人物を4人にまで絞り込んだ手紙を頼りに、一人一人訪ねていく。元軍人やネオナチなど、ナチスの亡霊のような人物と出会うそのプロセスは、戦後、何十年たとうと、ヨーロッパからどれほど遠く離れようと、ホロコーストは終わっていないということを告げているようだ。この物語が特筆なのは、ナチスの蛮行をテーマにしながら、過去はいっさい描かず回想シーンも使っていないということである。現代のみを背景に歴史の暗部をたどるその手法がアウシュビッツの生存者たちのリアルをあぶり出して、巧みだ。そしてついにたどりついた宿敵の前で知らされる衝撃の事実と復讐の意味を知って、言葉を失う。ところどころに出てくる、ピアノ曲や終盤に登場するワーグナーなど、音楽の使い方が効果的だ。人間は誰もが老いる。記憶はどこまで自分と寄り添ってくれるのか。カナダの巨匠アトム・エゴヤンが描く、静かだが戦慄のロードムービーは、クリストファー・プラマー、マーティン・ランドー、ブルーノ・ガンツら、ベテランの名優たちの厚みのある演技で忘れがたい作品に仕上がっている。
【70点】
(原題「REMEMBER」)
(カナダ・ドイツ/アトム・エゴヤン監督/クリストファー・プラマー、ブルーノ・ガンツ、ユルゲン・プロホノフ、他)
(衝撃度:★★★★☆)
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それでも僕は帰る シリア 若者たちが求め続けたふるさと



(ショートバージョン)
2011年に始まった民主化運動「アラブの春」の影響を受けたシリア。当時19歳でサッカーのユース代表のゴールキーパーであるバセットと、バセットの友人で有名な市民カメラマンである24歳のオサマの2人が立ち上がる。バセットは歌で、オサマは映像で、非暴力の抵抗運動を先導し民主化運動の中心的存在になっていくが、2012年2月の政府軍の容赦ない弾圧と武力攻撃から、バセットと仲間たちは武器をとって戦い始める…。

シリアのホムスの街で活動する青年たちを追ったドキュメンタリー「それでも僕は帰る シリア 若者たちが求め続けたふるさと」は、サンダンス映画祭をはじめ、世界の映画祭で多くの賞を受賞した問題作だ。シリアでは今もなお、政府軍と反体制派による武力衝突が続いている。この作品はシリアでの戦闘を通して、非暴力で活動する若者が、どういう経緯で武器を手にするに至るかを追うものだ。シリア内戦の実情は、実は外国勢力の介入もあり、さらに宗教対立もあって、簡単に理解するのは難しい。ホムスは“革命の首都”と呼ばれるが、バセットとオサマの2人は、ふるさとであるこの街を取り戻すという“正義”のもとに戦っている。だがそれは別の角度から見れば「人を殺す」という歴然とした行為だ。平和的な革命など存在しないのだと突きつけられた気分だが、戦争・革命という名の暴力を、2人の若者の精神的な変遷から捕えたリアリティに深く考えさせられる。
【60点】
(原題「RETURN TO HOMS」)
(アメリカ/タラール・デルキ監督/アブドゥル・バセット・アルサルート、オサマ・アルホムシ、他)
(熾烈度:★★★★☆)
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ハイネケン誘拐の代償

ハイネケン誘拐の代償 [Blu-ray]
オランダで実際に起こった大富豪誘拐事件を描く「ハイネケン誘拐の代償」。レクター博士が人質じゃ、かなわない!

1983年、世界有数のビールメーカー、ハイネケンの経営者で大富豪のアルフレッド・ハイネケンが何者かに誘拐され、高額の身代金が要求される。警察は巨大組織による犯行と考えていたが、実際の犯人は犯罪経験のない幼なじみ5人の青年たちだった。計画は順調に思えたが、人質であるハイネケンの威圧的な態度に圧倒され、徐々に計画に狂いが生じ始める…。

1983年にオランダで実際に起こった大富豪誘拐事件の顛末を描く「ハイネケン誘拐の代償」。エミー賞受賞の犯罪ジャーナリスト、ピーター・R・デ・ブリーズのベストセラーを基に、実話を映画化した作品だが、身代金の行方など、今も多くの謎が残る事件なのだそうだ。事件の真偽はさておき、映画は、誘拐する側“素人集団”と誘拐される側“百戦錬磨の経営者”という対立の構図と、老獪な人質のペースに犯人が徐々に飲み込まれていく過程を重視している。何と言ってもハイネケンを演じるのはレクター博士ことアンソニー・ホプキンスなので、そこにいるだけで威圧されるのも無理はない。だが犯人と人質の息詰まる心理戦というほどの会話劇にはなっていない。むしろ、犯人グループ5人の奇妙な友情やわだかまり、犯罪に加担した負い目など、自滅に近い展開だ。印象に残るのは人質であるハイネケンが、犯人を素人の友人グループと見透かして言うセリフ。「裕福には二通りある。大金を手にするか、大勢の友人を持つかだ。両方はありえない」。これは自身の体験からの言葉だろうか。かけがえのない友情を手にしているのにそれに気付かない愚かな若者たちへの指針にも思える。やはり器が違うのだ。それにしても、エンドロールに流れる、その後の犯人グループの運命が興味深い。
【60点】
(原題「KIDNAPPING MR. HEINEKEN」)
(ベルギー・英・オランダ/ダニエル・アルフレッドソン監督/アンソニー・ホプキンス、ジム・スタージェス、サム・ワーシントン、他)
(心理戦度:★★☆☆☆)
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チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密

チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密(初回限定版) [Blu-ray]
インチキ美術商が盗まれた名画の謎に迫るアドベンチャー「チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密」。ヘンテコキャラはジョニデの十八番。

イギリス・オックスフォード。ちょびヒゲがトレードマークのインチキ美術商チャーリー・モルデカイは、何者かに盗まれたゴヤの幻の名画を見つけ出すように英国諜報機関MI5から依頼される。不死身の用心棒ジョックと共に、盗まれた名画の行方を追ってイギリス、ロシア、アメリカを飛び回るが、その名画には世界を揺るがす財宝の秘密が隠されていた。やがてそれはロシアンマフィアや国際テロリストを巻き込む大騒動へと発展する…。

原作はミステリー作家、キリル・ボンフィリオリの小説。うんちく好きのアートディーラー・モルデカイは、自称セレブ貴族だが実情は借金と税金に追われて無一文に近い。ゴヤの名画を追う冒険も、いわば借金のためだ。それが悲壮に感じられないのは、主人公のキテレツキャラのおかげである。白塗りの代わりのチョビ髭姿で、ジャック・スパロウとウィリー・ウォンカをミックスしたような可笑しなキャラを演じるジョニデは、実に楽しそうだ。しかし、彼の場合、過去作で繰り返し演じてきたキテレツなキャラの方がフツーに見えるので「あぁ、いつもの」と感じてしまうので困ったものだ。おかげでこの映画、主役のジョニデよりも脇役の方が光ってしまっている。モルデカイに何度もヒドい目にあいながら、それでも彼を守る用心棒(なぜかモテまくる!)役のポール・ベタニー、純情なMI5の刑事を演じるユアン・マクレガーなど、主役級の俳優たちがいい味を出していていて、個性を存分に発揮しているが、何と言っても知的な美人妻ジョアンナ役のグウィネス・パルトローがいい。髭嫌いだが夫をとことん愛し抜くジョアンナが謎を解き、すべてを収まるところに収めていく展開は、最もおいしい役どころなのだ。ゴヤの名画の秘密とその顛末は映画を見て確かめてもらうとして、全編に散りばめられたスパイ映画へのオマージュが嬉しかった。
【65点】
(原題「MORTDECAI」)
(アメリカ/デヴィッド・コープ監督/ジョニー・デップ、グウィネス・パルトロー、ユアン・マクレガー、他)
(ヘンキャラ度:★★★★☆)
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悪童日記

悪童日記 [DVD]
戦時下を生きる双子の兄弟が独自の価値観で生き抜く様を描く「悪童日記」。コラージュ手法など演出はおしゃれだが、描かれる内容は極めてシビアな寓話。

第2次世界大戦末期の東欧。双子の兄弟は都会から田舎へと疎開する。村人から魔女と呼ばれる祖母からこき使われながら、過酷な日々に耐え、毎日の出来事を日記につづる。2人は、自らの肉体と精神を鍛え、残酷さに耐える訓練を積んでいくが…。

原作はハンガリー出身の女性亡命作家アゴタ・クリストフの小説。続編とあわせて全3部作の大長編だ。本作の監督ヤーノシュ・サースは、原作者と同郷だそう。双子の兄弟は「強く生きろ」との両親のいいつけを守ることを決意するが、それは母親の愛を忘れ、自らの肉体を傷つけ、時には殺人さえも辞さないアブノーマルなサバイバルへと昇華していく。少年たちの思いがピュアで強いからこそ、残酷さが際立つが、物語はそのことによって反戦を訴えているのだ。優しさのかけらもない祖母、盗み癖のある隣家の少女、同性愛の臭いのするナチス将校、ユダヤ人嫌いの美女などが登場するが、双子は彼らと近距離で接しながら、決して情に流されず、陰惨な行動さえ淡々と行うところが背筋が凍る。演じるのは実際に双子の兄弟のアンドラーシュとラースロー・ギーマーント。彼らの眼力の強さがいい。またナチス侵攻や母の姿を、写真やイラストを切り貼り、日記のページにコラージュする手法がユニークだ。一見おしゃれでアーティスティックな演出ながら、描かれているのは極めて残酷な戦時下の日常で、モンスターと化していく兄弟の人格破壊のつぶさな記録になっている。ラストの父との別れ、兄弟の別れもまた熾烈。この後の物語もぜひ映像で見てみたい。
【70点】
(原題「THE NOTEBOOK/LE GRAND CAHIER」)
(独・ハンガリー/ヤーノシュ・サース監督/アンドラーシュ・ギーマーント、ラースロー・ギーマーント、ピロシュカ・モルナール、他)
(サバイバル度:★★★★☆)
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オー!ファーザー

オー!ファーザー [Blu-ray]
4人の父親を持つ高校生が謎の拉致事件に巻き込まれるサスペンス・コメディ「オー!ファーザー」。このテンポの悪さはいったい何?!

高校生の由紀夫は、自分こそが父親だと自称する4人の男と同居している。風変りな生活だが、それでも4人の父は息子に精一杯の愛情を注いでいた。ある日、由紀夫はサラリーマン風の男が鞄をすり替えられるのを目撃し、それをきっかけに何者かに拉致されてしまう。不登校の同級生、地元のヤクザ、街を二分する知事選挙…。すべてが繋がっていた。由紀夫から助けを求められた4人の父親たちは、一致団結して息子の救出作戦を練るのだが…。

原作は次々に作品が映画化される伊坂幸太郎。井坂作品の映画を既見の人なら、バラバラだったエピソードがやがてひとつにつながっていく展開は容易に想像できるだろう。本作もそのセオリー通りに進むのだが、今回は何ともテンポが悪い。4人の父親が、それぞれ大学教師の悟、チョイ悪でギャンブラーの鷹、ケンカ指南もする体育教師の勲、女たらしの元ホストの葵と、キャラが立っているのはいいとしても、やっぱり仲良く暮らす父親4人という設定はあまりに突飛だ。事件の展開や救出作戦も、偶然に頼りすぎているし、何と言ってもクライマックスの救出劇がショボすぎていただけない。由紀夫のガールフレンド多美子のキャラにまったく魅力がないのも見ていてツラいところだ。要するにサスペンスとしてはほとんど見どころがないのだが、4人の父親たちが人生の先輩として、知識やケンカのコツ、女とのつきあいや世渡りのノウハウを教え、それが節々で活かされるのは、ちょっと楽しい。この作品は、風変りな家庭環境で育つ主人公が、大人の愛でちょっとだけ成長するお話なのだ。
【55点】
(原題「オー!ファーザー」)
(日本/藤井道人監督/岡田将生、忽那汐里、佐野史郎、他)
(父子愛度:★★★★☆)
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僕は友達が少ない

僕は友達が少ない [DVD]
友達がいない高校生たちの残念な日常を描く青春ストーリー「僕は友達が少ない」。無駄に多いエロ描写に唖然。

聖クロニカ学園に転向してきた羽瀬川小鷹は、ハーフで目つきがよくないという外見や人見知りの性格のため、友達が全然出来ない。ある時、いつも一人でいる同級生の三日月夜空が友達作りを目的に“隣人部“を創設し、小鷹も強引に入部させられる。やがて隣人部には、巨乳で女王様体質の星奈や変人発明家の理科ら、同じように友達がいない、個性的な部員が集まるが、理科の発明したあるバーチャルゲームによって現実世界がバーチャルに侵食されてしまう…。

原作は平坂読の人気ライトノベルで“はがない”の愛称で親しまれる作品だが、映画はオリジナル・ストーリーとなる。個性が強すぎて友達ができない高校生たちの日常は、残念というより、妄想の世界だ。主人公の小鷹は実は最も常識的なキャラで、個性的すぎる隣人部の部員に振り回される。それにしてもこの作品全編にあふれるエロ描写はいったい何なのだろうか。ストーリー的な必然性は皆無なので、単なるギャグかもしれないが、舞台となる高校はまるで風俗店のようである。女の子の何人かは胸元も露にシャツをはだけ、ミニスカートからはパンチラという姿なのに、周囲はほとんど無関心。この設定に何の意味が?と首をかしげる。ほかにも、メイド服姿の美少年にアニメキャラになりきる妹、10才のシスターと、おかしなキャラをあげていくときりがないので、早い段階で気にするのはやめにした。ともあれ、隣人部の部員でもある星奈が、友達ができず、孤立した現実から逃避するためゲームの中に留まってしまったことから、世界が狂いはじめる、という展開だ。クライマックスは、忘れていた過去を思い出し、自分自身を見つめなおすという意外にもまっとうなオチになる。それにしても優しい顔つきの瀬戸康史が目つきが悪いキャラというのは無理がないか? さらに主要キャストの年齢から高校生役ってのも無理がないか? まぁ、このタガがはずれた世界観の中では、そんなことは些細なことなのだ。受け流す。これが本作を楽しむコツである。
【50点】
(原題「僕は友達が少ない」)
(日本/及川拓郎監督/瀬戸康史、北乃きい、大谷澪、他)
(エロい度:★★★☆☆)
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よみがえりのレシピ



古くから伝わる在来作物を守る人々の活動を追うドキュメンタリー「よみがえりのレシピ」。生産者たちの心意気が何よりも感動的だ。

山形県庄内平野には、在来作物にこだわる人々がいる。“山形イタリアン”「アル・ケッチァーノ」のオーナーの奥田政行シェフ、山形大学で在来作物や植物遺伝子、焼畑農法を研究する江頭宏昌准教授、そして生産者の農家の人々だ。外内島キュウリ、だだちゃ豆、金谷ゴボウ、宝谷カブ、雪菜などの古くからある野菜が、イタリアンレストランで、独創的な一皿となって人々に食される様子を、生産者のインタビューや生産現場の様子とともに紹介していく。

在来作物とは、ある地域で、世代を越えて、栽培者によって種苗の保存が続けられてきた農作物を指す。かつては全国にあった在来作物は、作るのに手間がかかり、病気にも弱いとの理由で評価されず、何より儲けが出ないとして敬遠され、多くが消滅していった。だが奥田政行シェフは、この在来作物に注目し、それらを活かした料理を生みだす。本来、料理人は、作りたい料理があってそれに材料をあてはめていくが、奥田シェフは、地元・山形でとれる食材を最優先し、それが活きる料理を作るというまったく正反対のアプローチなのだ。彼と彼が作る料理の周りには、市場では忘れ去られた野菜を、細々とではあるが作り続けた生産者の情熱が静かにみなぎっている。印象的なのは、古くからある野菜・外内島キュウリのエピソード。そのキュウリの持つ苦みは、大量生産の時代には敬遠されたが、スローフード全盛の現代では、苦みはむしろ素朴で個性的な味として好まれる。食材というのは、消費者の嗜好に大きく左右されるものなのだ。だが、生産者の農家の人々は、そんなことよりも、もっと原初的な“昔から自分の土地にある野菜を次の世代に残したい”との願いから、大切にいにしえの種を守り継いでいるのだ。そこにあるのは、農家の人々の情熱と誇りだ。健康嗜好や、ロハスなどのライフスタイルの変化から、食に対する関心は高まる一方だが、この映画は、在来作物をみつめることが、食文化のみならず、地域社会のつながりをも築くことを教えてくれる。食と農業の未来を改めて考えさせられる作品だ。
【65点】
(原題「よみがえりのレシピ」)
(日本/渡辺智史監督/奥田政行、江頭宏昌、山形県の農家の皆さん)
(食へのこだわり度:★★★★★)
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
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新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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