映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「アトミック・ブロンド」「バリー・シール」「あゝ、荒野 後篇」「我は神なり」etc.

M・ナイト・シャマラン

スプリット

スプリット(Blu-ray + DVD + Digital HD)日本のプレイヤーで再生可能 [並行輸入品]
孤独な女子高生ケイシーは、クラスメートのクレアの誕生日パーティにお情けで招待される。その帰り、クレアの親友マルシアと共に家まで車で送ってもらうことになるが、突如見知らぬ男が車に乗り込んで、3人の少女は拉致されてしまう。目覚めるとそこは殺風景な密室だった。やがて彼女たちは、この正体不明の男が“ひとりではない”ことを知る。彼の中には、神経質な男、人当たりのいい青年、9歳の少年、エレガントな女性…と、23人もの人格が潜んでいた。なんとか脱出を試みるケイシーたちだったが、ついに男の中で、驚くべき24番目の人格が誕生してしまう…。

女子高生3人が23人の人格を持つ男に対峙する異色の監禁サスペンス「スプリット」。前作「ヴィジット」でようやく軌道修正したM・ナイト・シャマラン監督の新作だ。23人の多重人格というと突拍子もない設定に思えるが、同様の多重人格者ビリー・ミリガンが実在していることを考えると、絵空事とは言えない。それはさておき、シャマランが確信犯的に描くB級テイストたっぷりのこのスリラーは、とにかく主演のジェームズ・マカヴォイの演技力に圧倒される。衣装は変わるが特殊メイクやCGなしで人格を演じ分けるのだから、たいしたものである。実際、ギャグすれすれのシーンも多く、監禁されている少女たちには気の毒だが、この犯人に魅了されてしまった。だが内向的な性格のケイシーには、優れた観察眼や戦略があった。彼女のトラウマである、過去のシーンをはさみながら、ケイシーが謎の男に対峙する様は、なかなかサスペンスフルである。演じるアニヤ・テイラー=ジョイの意志の強いまなざしが、素晴らしい。精神科の主治医が語る男の過去、少女たちの運命、24人目の人格“ビースト”の衝撃、そして、あのスターが登場する、驚愕のラストまで。単なる多重人格者の恐怖を描くだけではおわらない、シャマラン・マジックとでも言うべき仕掛けは、怖いやら、可笑しいやら。悪ノリにも似たサプライズに、シャマラン復活の確かな証を見た。
【60点】
(原題「SPLIT」)
(アメリカ/M・ナイト・シャマラン監督/ジェームズ・マカヴォイ、アニヤ・テイラー=ジョイ、ベティ・バックリー、他)
(衝撃度:★★★★☆)
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スプリット|映画情報のぴあ映画生活

ヴィジット

ヴィジット ブルーレイ&DVDセット [Blu-ray]
休暇を過ごすため、母方の祖父母の家にやってきた姉妹。のどかな田舎街で、初めて会った優しい祖父と料理上手な祖母に歓迎されるが、すぐにこの家で過ごすための奇妙なルールを告げられる。「楽しい時間を過ごすこと」「好きなものは遠慮なく食べること」そして「夜9時半以降は部屋から絶対に出ないこと」。その夜9時半過ぎ、異様な気配に目を覚ました姉弟はついにドアを開けてしまう…。

「シックス・センス」のM・ナイト・シャマラン監督が、久し振りに原点回帰したホラー・サスペンス「ヴィジット」。シャマラン監督は「エアベンダー」「アフター・アース」と、何がしたいのかよくわからない作品が続き、低迷というより混迷していた感があったが、本作はスモール・タウンを舞台に、ほとんど無名の俳優(でも実力派)を使い、自分の好きな映画を楽しそうに作っている印象だ。夜9時半過ぎに部屋を出るなというルールは当然破られる。だが、優しいはずの祖父母がみせる異様な言動を上回るのが、子どもが持つ好奇心なのだ。いまさら感満載のPOV(主観カメラ)をあえて採用したのも、いまどきの子どもたちの視点をリアルに取り入れたかったからに違いない。驚きのドンデン返しはもちろん用意されている。ネタバレは避けるが、画面のすみずみに小さな伏線があり、それをきちんと回収しているのが上手い。映画監督志望の姉、生意気だけどちょっと気弱、でもやるときはやる!タイプの弟のキャラも活かされる。ホラー演出は、怖いけどどこか笑いを誘うテイストなのが新鮮で、クライマックスのバトルなど、思わず吹き出してしまった。エンドロールに凝った演出が見られるので、ぜひ最後まで見てほしい。
【70点】
(原題「THE VISIT」)
(アメリカ/M・ナイト・シャマラン監督/キャスリン・ハーン、ディアナ・デュナガン、ピーター・マクロビー、他)
(インディーズ度:★★★★☆)
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ヴィジット@ぴあ映画生活

アフター・アース

アフター・アース(初回生産限定) [Blu-ray]
伝説の兵士とその息子のサバイバルを描くSFアクション「アフター・アース」。ハリウッドが伝統的に得意とする父と子のドラマだが、シャマラン監督らしさはまったくない。

人類が別の惑星に移住してから1000年が経った西暦3027年。恐怖心をコントロールできる伝説の戦士サイファと、その息子で、父にあこがれながらも、父との間に距離を感じている13歳のキタイの乗った宇宙船は、事故により見知らぬ惑星に不時着する。そこは、かつて人類が捨てた地球で、今や“最上級危険惑星”となった恐ろしい場所だった。大怪我を負って動けない父に代わり、帰還に必要な緊急シグナル“ビーコン”を捜すため、キタイは荒れ果てた大地へと足を踏み入れるが、彼の前には未知の生物や想像を絶する危険が待ち受けていた…。

ウィル・スミスと実子ジェイデン・スミスが「幸せのちから」以来7年ぶりの親子共演を果たしたSF大作だ。主人公たちが不時着した地球は、一見、緑あふれる豊かな大自然が広がる惑星だが、そこはもはや人類が住むことを拒否する場所。だが物語は、未来の地球は、人類を抹殺するべく進化しているというユニークな設定を、生かしきれていない。人類は異生物とそれらが作った武器“アーサ”と戦っているという設定だが、このアーサは人間の恐怖心を匂いでとらえて攻撃する新型兵器。つまり恐怖をコントロールできるものだけが伝説の兵士になれるというわけで、本作は地球そのものの危険を描くSFというより、未知の敵と戦うときの恐怖と立ち向かうキタイの成長物語といえるだろう。同時に、キタイの姉、センシの死に対して共に責任を感じている父子が、互いの心をさらけだし和解するドラマでもある。監督はM・ナイト・シャマランだが、「シックス・センス」のようなホラーやどんでん返し的なひねりはなく、死んだ姉が幻影として現れる場面にわずかに“らしさ”があるだけ。VFXで創造された未知の動物たちとの戦いはSFアクションとしては楽しめるが、シャマラン風味のスーパーナチュラルなテイストは期待してはいけない。何しろストーリーの原案はウィル・スミス本人なので、シャマランらしさは皆無なのだ。サバイバル劇のほとんどがウィルとジェイデンの二人芝居。父ウィルが“静”の芝居に徹し、息子ジェイデンに華を持たせた“父子もの”映画として楽しむべきだろう。
【50点】
(原題「AFTER EARTH」)
(アメリカ/M・ナイト・シャマラン監督/ウィル・スミス、ジェイデン・スミス、ソフィー・オコネドー、他)
(驚き度:★★☆☆☆)
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アフター・アース@ぴあ映画生活

デビル

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低予算で小規模なホラー映画だが、意外にも楽しめるソリッド・シチュエーション・ホラー。確信犯的きわもの監督M・ナイト・シャマランが、裏方に徹したのが良かったのだろう。

高層ビルから男が転落死し、現場に急行したボーデン刑事は、状況から自殺と判断する。だが同じビルのエレベーターが突然急停止し、5人の男女が閉じ込められるというハプニングが発生。ボーデンは事態の収拾を図るが、5人のうちの一人が不可解な状況で死亡する。照明が消えるたびに一人、また一人と無残な死を遂げていく中、ボーデンや警備員の男たちは、人間ではない“何か”の存在を感じ始める…。

この作品は名作「シックス・センス」以降、ファンの期待を裏切り続けている鬼才M・ナイト・シャマランの原案を、将来有望な若手監督が映画化するプロジェクト「ザ・ナイト・クロニクルズ」の第1弾だ。密室劇の定番の、それぞれの隠された秘密が暴かれていくサスペンスに、オカルト要素がからみ、控えめなショックシーンを交えながら描いていく。エレベーターも止まり携帯もつながらない中、監視カメラだけが作動するというまことに都合がいい設定の中、次々に不可解な惨劇が起こるのだが、エレベーターの中の様子を、刑事たちが監視カメラ越しに見守るという見せ方が上手い。ただ見ていることしかできない状況は、そのまま観客のスタンスと重なっている。この世ならぬ何かの正体は、タイトルからしてすでにネタバレ状態なのだが、果たして誰が…?という謎は、登場人物に有名スターがいないことがかえって幸いし、このサバイバル劇の興味を最後まで引っ張ってくれる。5人の男女は意図的に集められているのだが、それを見る側にもまた理由があった。これが最後の最後で上手いオチになって効いてくる。シャマラン得意のブッ飛んだどんでん返しがない分、こじんまりとまとまった感はあるが、インディーズ作品としてはかえって作品が締まり、印象は悪くない。悪魔の存在を信じるということは、逆に言えば神の存在を信じるということ。それを象徴するかのような、大都会を逆しまにしたオープニングにセンスを感じた。
【60点】
(原題「DEVIL」)
(アメリカ/ジョン・エリック・ドゥードル監督/クリス・メッシーナ、ローガン・マーシャル=グリーン、ジェフリー・エアンド、他)
(残酷シーン度:★★★☆☆)
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デビル@ぴあ映画生活

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映画レビュー「ハプニング」

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◆プチレビュー◆
シャマラン流のこけおどし映画。信仰への目配せも感じるが、世界の破滅の正体に苦笑するしかない。 【20点】

 ある日突然、ミツバチが消えた。間もなく、NYのセントラル・パークで人々が突然倒れる異常現象が起こり、街では自殺者が続出する。科学教師エリオットは、家族や同僚と共に安全な場所を目指して避難するが…。

 しばしば超常現象をモチーフとするM・ナイト・シャマランは、傑作「シックス・センス」の監督として有名だ。でも油断は禁物。彼の映画は、予告編の面白さと本編とのギャップでは業界随一なのだから。これ見よがしの謎を張り巡らせ、大きな落ちを用意するのが得意技だが、近年、意図的に、観客のヒンシュクを買っては喜んでいるように見える。

 本作を例えるならば、ヒッチコックの「鳥」の出来損ないと言えようか。見えない脅威によって人々が次々に死に至り、追いつめられた民衆はパニックになり逃げ惑う。言葉が乱れ、方向感覚を失い、自殺に至るそのプロセスには、ただならぬ気配が漂っていた。だが、映画の中で盛んに怖がる“それ”は、そよそよと揺れる緑の草や木々。そんなもので恐怖と言われても困ってしまう。

 物語が進むに連れて、どうやら植物が関係していると分かるが、感染の正体や地域限定であることの謎には答えない。原因やつじつまを問題にしないこの映画は、ただ“突発的な出来事(ハプニング)”を描くのみだ。情緒不安定な妻が、何かやらかすかと期待したが、それも肩透かし。世捨て人のような老婆の描写も中途半端で、この年ならフツーにお迎えがきたとさえ思えてしまう。

 自ら命を絶つ様子は異様な不気味さで、極端な仰角で唐突にとらえる空が不安感を煽り、CGに頼らない演出の工夫を感じる。この謎めいた映像で訴えるのは人類の理由なき破滅だが、これでは説明不足を通り越して映像詐欺だ。

 かつてT・S・エリオットは、その詩「うつろな人間」の中で“これが世界の終り方だ。パーンではなくシクシクと泣いて終る”と詠った。大仰で華々しいものではなく、静かに地味にやって来るのが世界の終焉という考え方は分からなくもない。クレージーな死に様で人類の罪を自覚させ、もう一度信仰心を取り戻せとシャマランなりの言葉で語りかけるが、説得力はまったくない。

 こうなったら言わせてもらうが、このノリは、おバカホラーとして名を馳せる「アタック・オブ・ザ・キラートマト」と同じじゃないか。トマトが肉食になって人を襲うという天才的なアホらしさのこの作品、映像的にはトマトはまったく人を襲わない。ただコロコロと転がっているだけなのに、人間の方がギャアッと奇声をあげて勝手に絶命するという珍作で、大いに笑える。だが本作はどうだ?!ハプニングだか何だか知らないが、中身は空っぽのくせに、自然への畏怖を装い、スピリチュアルな世界を匂わせるなど、トマトよりたちが悪い。これはB級映画だと作り手自身が明言するあたりは可愛げがあるが、落ちがないことが落ちだとは。バカらしくて付き合いきれない。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)脱力感度:★★★★★

□2008年 アメリカ映画 原題「THE HAPPENING」
□監督:M・ナイト・シャマラン
□出演:マーク・ウォールバーグ、ズーイー・デシャネル、ジョン・レグイザモ、他

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ヴィレッジ

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◆プチレビュー◆
ヒッチコックよろしくスクリーンに登場するのがシャマランの得意技。今回は映画の終盤にチラリと登場。後姿だがガラスに顔がうっすらと写る。盲目のアイヴィーを演じたB.D.ハワードは「ビューティフル・マインド」のロン・ハワード監督の娘だ。

1897年のペンシルヴァニア州。深い森に囲まれたその村では、外界とは完全に孤立した暮しが営まれ、数十人の村人はまるで大きな家族のように暮していた。村には厳密な掟が存在したが、瀕死の恋人ルシアスを助ける薬を手に入れるため、不思議な力を秘めた盲目の少女アイヴィーが、町に向かって遂に森へと足を踏み入れる…。

超自然現象やゴースト、異星人などに執着するシャマラン監督。そのこだわりを映画に盛り込むのはいいが、作品の質にバラツキがあるのがたまにキズだ。「シックス・センス」で世界中を熱狂させたかと思えば、「アンブレイカブル」「サイン」と、観客を連続してスベらせる。彼の新作に身構えてしまうのは仕方がない。でも、期待してしまうのもまた事実なのだ。

シャマラン流の仕掛けは二段構えになっていて、村人が守る3つの掟と森に住むという“彼ら”の正体が第一の謎である。最初の謎は正直言って肩すかしだが、最後の謎には驚かされる。楽園とも思える特殊なコミュニティの存在と、それが崩れる予感がテーマだ。“村”と“町”の真実が明らかになったとき、物語は深みを増す。謎解きの楽しみのため余計な解説は止めておこう。

映画の出来とは別のところで話題になっているのが、この映画のオチにまつわる盗作問題。秘密主義で知られた映画だけに波紋は大きいようだ。だが、映画に関して「このネタはあの小説やこの映画で見たことあるゾ!」と鬼の首でも取ったように騒ぐのは、ナンセンスだと私は思う。第一、殆どの映画の物語は、過去にどこかで使われているのだ。そんなことより大切なのは、映画としてどれだけ訴求力を持つかではないだろうか。最初であることより最良であることを目指すべきなのだ。

コケオドシもたっぷりの娯楽作でありながら、見終われば社会性も込められていたとは驚く。人間が築くユートピアを、神や自然は許すだろうか。そして、そのユートピアは真の幸福を生むのだろうか。この作品、シャマランに似合わず、案外深い映画なのかもしれない。もっとも彼のデビュー作はいたってヒューマンな「翼のない天使」だったことを思えば、“似合わない”と評するのは失礼かもしれないけれど。

□2004年 アメリカ映画 原題「The Village」
□監督:M.ナイト・シャマラン
□出演:ホアキン・フェニックス、エイドリアン・ブロディ、ブライス・ダラス・ハワード、他

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サイン

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◆プチレビュー◆
思わせぶりなこのサインだがその正体は…。巨額の費用をかけた、とうもろこしのCM映画か?!

妻の事故死以来、信仰心を失った元牧師グラハムのとうもろこし畑に、突如として奇怪なミステリー・サークルが現れる。同時に、家族の周りで、そして全世界で不可思議な出来事が起こり始めた。人間とは違うと思われる不気味な生物を目撃したグラハムは、家族を守るために、立ち上がるが…。

こういうのを確信犯というんじゃないのか?!絶対秘密主義の脚本、全世界試写会禁止、映画公開まではノベライズ本も発行できない。このように、期待感を煽り、映画前半もジワジワと出し惜しみしながら、衝撃の結末で、“あらら…なんじゃこりゃ”というオチをつける。観終わった観客のブーイングまで計算してかますハッタリは超一流で、やはりこの目で謎を確かめねば!と思わせる。判っててやってるに違いない!

信仰を失った元牧師が体験する超常現象の数々。なぜ、彼と家族の周りに出現したのか。世界の終わりなのか。神の啓示なのか。絶望の予感に脅かされるグラハムとその家族。子供達は予知能力に目覚め、ついに家は何者かに侵略されてしまう。物事には偶然はなく、全て予兆があるというのが、シャマラン監督の世界感。

SF、スリラー、恐怖映画…といった方向で宣伝がなされたため、誤解しがちだが、実は一人の男が家族の絆と愛で、信仰を取り戻すお話だ。かといって、特に作品に深みがあるわけではない。むしろ恐怖の中でのユーモアを上手く利用しながら、観客をひっぱっていく、非常に良くできたB級映画と言える。話の筋やディティールは二流映画のテイストなのに、超一流の俳優の起用でバランスをとっているのもいつものお約束だ。

何でもギブソンは私生活では敬虔なカトリック教徒らしい。このギブソンの弟を演じるのは、何やら顔つきがメルに似ていなくもないホアキン・フェニックス。夭折のアイドルだった兄リバーと、イマイチ暗い妹サマーに挟まれたホアキンは、良質な作品に出演しながら、個性的な演技派俳優としての道をひた進む。本作では、元マイナーリーグでならした打撃の名手である弟メリル役で、ラストに重要な役目を担う。でも、ホアキンが劇中で本当に担っているのは“笑い”の部分。内向的な兄を支え、恐怖に対峙しながら、かなり笑わせてくれる。アルミ箔の帽子や、水着ビデオ、家族で行う最後の晩餐などでは、彼がマジメになればなるほど可笑しい。

監督は天才的なコケオドシの腕で観客を楽しませ、自分の中の宗教観を披露していく。エンターテイメントの術は認めるものの、なぜにド田舎に住む主人公が、個人的な信仰心を取り戻すのに、世界規模、宇宙規模の話にする必要があったのか?!と疑問。別に“そんなもの”に遭遇しなくても、偶然と必然を実感できるチャンスはいくらでもあるんじゃないのか?神サマだって昨今、そんなにヒマじゃないと思うけど。なんてことない物事をここまで思わせぶりに表現できる監督の腕は、どーよ?!

笑撃の…、いや衝撃の瞬間に、“それ”の姿がスクリーンに映った途端、私はスベッた。見えない“何か”を描くことで映画界の寵児となったシャマランの、あからさまな映像。逆光といえども、何ともおマヌケな姿を見せられて力が抜ける。当然、集中力も欠如し、私の頭の中には、「?」と「!」と「@@」だけが残った。全ての謎が解けた代償に味わう脱力感。あぁ、どうしてくれる。

□2002年 アメリカ映画 原題「Signs」
□監督:M.ナイト・シャマラン
□出演:メル・ギブソン、ホアキン・フェニックス、他

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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